Tuesday, June 6, 2023

NY外為市場=ドル急落、FRB6月利上げ見送り観測で

[ニューヨーク 1日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが大きく下落し、約1カ月ぶりの大幅な下げとなる勢い。米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を受け、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る可能性が高いとの観測が高まったほか、米製造業関連指標を受けた。 ドル指数は0.547%安の103.580。5月31日に付けた2カ月ぶり高値104.7から下落した。 FRB当局者は6月13─14日の会合での利上げ「見送り」を示唆し、これまでの金融引き締めの影響を検証する時間が必要との考えを示した。 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は1日、高水準にある米国のインフレは緩慢なペースで低下しているものの、連邦準備理事会(FRB)は6月13─14日の次回会合で利上げを決定するべきでないとし、経済データにサプライズがない限り政策金利を据え置き「様子を見る」ことが望ましいと述べた。 CMEのフェドウオッチツールによると、6月会合での25ベーシスポイント(bp)利上げ確率は約32%とみられている。前日は67%近かった。 米供給管理協会(ISM)が1日発表した5月の製造業総合指数は46.9と、前月の47.1から悪化し、7カ月連続で拡大・縮小の分岐点となる50を下回った。金利上昇が重しとなり新規受注が急減した。一方、雇用は9カ月ぶりの水準に回復した。 ユーロは0.64%高の1.0757ドルとなり、31日に付けた2カ月ぶり安値1.0635ドルから回復した。 欧州連合(EU)統計局が1日発表したユーロ圏の5月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年比6.1%上昇と、前月の7.0%上昇から鈍化した。市場予想の6.3%上昇も下回った。 ただ、依然として欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%の3倍以上の水準にある。 ECBのラガルド総裁は1日、ユーロ圏のインフレ率は依然として高すぎると指摘し、これまでの利上げの効果が出ていることを示す材料が増えていても一段の引き締めが必要との見解を示した。 金融市場は、6月15日のECB理事会で25bpの利上げが実施される確率を85%とみている。リフィニティブによると、7月にも25bpの利上げが予想されている。 英ポンドは0.67%高の1.2524ドル、豪ドルは0.98%高の0.657米ドルだった。 ドル/円 NY午後4時 138.79/138.82 始値 139.52 高値 139.84 安値 138.47 ユーロ/ドル NY午後4時 1.0760/1.0764 始値 1.0707 高値 1.0768 安値 1.0685

金利環境、新しい「常態」に移行した可能性否定できず=日銀総裁

[東京 31日 ロイター] – 日銀の植田和男総裁は31日、日銀・金融研究所が主催する「国際コンファランス」の開会あいさつで、インフレ動向や経済環境の変化に言及し、新型コロナウイルス感染症への対応で公的部門・民間部門で負債水準が高まっていることや地政学リスクが強まっていることにより「既にlow for long(長期的な低金利環境)とは異なる新しい常態に移行しているという可能性も一概に否定することは難しいように思う」と述べた。 植田総裁は、日本も2度のオイルショックに見舞われた1970年代の高インフレ期の後にGreat Moderation(大いなる安定)の時代があり、その後、世界金融危機や長期的な低金利環境(low for long)の時代が続いたと説明。 現在は高水準にあるインフレがやがて落ち着き低金利の時代がまだ続くとの見方と、人々の物価観などの変遷により従来の低金利の時代からは変わっていくとの見方もあるとした。 長期的な低金利環境の下で打ち出された非伝統的金融政策については「実践の積み重ねの少なさや効果測定におけるデータ制約といった課題があり、今後のさらなる理論構築・検証が求められる」と指摘。政策手段の高度化、多様化により、従来よりも一段と丁寧な対外的コミュニケーションが求められるようになっていると述べた。こうした問題意識は、4月の金融政策決定会合で実施を決めた金融緩和政策の多角的レビューにも通じると説明した。 <現在の高インフレ、需要・供給双方が作用> 植田総裁は70年代の物価高騰の教訓として、インフレの原因を把握することの重要性を指摘した。需要要因によるインフレに対しては、金融引き締めで過度な需要を抑えインフレを抑制することが望ましいが、供給要因によるインフレの場合には「景気面では引き締め政策は採りたくない一方、インフレを放置するわけにもいかないというジレンマに直面する中で、難しい政策のかじ取りが迫られることになる」と述べた。 植田総裁は現在の世界的なインフレの背景として、資源価格の上昇、労働供給不足、サプライチェーンの混乱などの供給要因に加えて、拡張的な財政・金融政策の効果や新型コロナウイルス感染症拡大後のペントアップ需要の増加も影響している可能性が指摘されているとした。いずれの要因もタイムラグを伴って物価に作用していると考えられることから、物価は「さまざまな指標を丁寧に分析し、基調を見極めていくことが非常に重要だ」と語った。 国際コンファランスは毎年、学者や海外の中央銀行当局者などが参加し開催され、今年は31日から6月1日までの予定。植田総裁のあいさつは英語で行われた。 (和田崇彦 編集:田中志保)

「らくらくホン」民事再生=負債1200億円、端末修理停止

 富士通の携帯電話事業を引き継いだFCNT(神奈川県大和市)など3社は30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したと発表した。3社はNTTドコモのシニア世代向け「らくらくスマートフォン」などが人気を集めたが、半導体不足に伴う仕入れ価格の上昇により業績が悪化した。  帝国データバンクによると、負債総額は3社合算の負債額からグループ会社間の取引分を差し引いた計1193億円。  FCNTは同日、携帯端末の修理やアフターサービスを停止した。再開するかどうかは、再建策について協議しているスポンサー候補の意向次第だと説明した。NTTドコモは「アフターサポート体制を整え、販売を継続する」と発表した。 

豊田会長選任、反対推奨=トヨタ株主に米助言会社

 米議決権行使助言会社グラスルイスが、トヨタ自動車の株主に対し、豊田章男会長の取締役選任議案に反対するよう推奨したことが29日、分かった。グラスルイスの基準で「独立している」とみなせる取締役が少ないことが理由で、豊田会長にはその責任があると主張している。  グラスルイスは「十分な数の独立した取締役がおらず、客観性や独立性、適切な監督を行う能力に深刻な懸念を呼び起こす」と指摘。監査役候補3人についても、独立性が不十分だなどとして選任案に反対するよう推奨した。  トヨタは「東証の基準は満たしており、独立性について承認を受けている」と反論している。 

トヨタ、3.9万台リコール=排ガス防止装置に不具合―国交省

 トヨタ自動車は25日、排ガス防止装置の不具合で、ワゴン車「ハイエース」、OEM(相手先ブランドによる生産)供給したマツダの「ボンゴブローニイ」の計2車種3万9010台(2021年9月~22年7月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。20件の不具合が確認されている。  国交省によると、排ガス中の窒素酸化物を分解する装置の配線の固定が不適切で、走行時の振動で断線し、機能しなくなる恐れがあるという。 

トヨタの豊田章男会長、子会社の衝突試験不正「あってはならない行為」と謝罪…バンコクで

 【バンコク=山村英隆】トヨタ自動車は8日、子会社のダイハツ工業で衝突試験の手続きに不正があった問題で、タイ・バンコクで記者会見を開き、豊田章男会長が「お客さまの信頼を裏切る絶対にあってはならない行為だ」と謝罪した。  タイでは、今回の不正の対象となった車種のうち「ヤリスエイティブ」がトヨタブランドで生産・販売されている。エコカーに関するタイ政府の減税対象で、現在は販売を停止している。  豊田氏は会見で「トヨタは問題が発生したときは立ち止まり、再発防止に取り組んでいく会社だ。確認する時間をいただければ」と述べ、販売再開まで時間がかかることに理解を求めた。

イタリア、中国との「一帯一路」協定更新しない見込み=関係筋

[ローマ 4日 ロイター] – イタリア政府高官は来年初めに期限を迎える中国との「一帯一路」構想を巡る協定について、更新する可能性は非常に低いとの認識を示した。 ただ非常に敏感な問題だとして、今月日本で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)の前に正式な決定を下すことはないとの見方を示した。 イタリアはG7で唯一の一帯一路構想の参加国。経済活性化を期待して2019年に加わったが、19年に130億ユーロだった中国への輸出額は、昨年は164億ユーロ(181億ドル)にとどまり、期待した効果は出ていない。 一方、イタリアのデータによると、中国のイタリアへの輸出は同じ期間に317億ユーロから575億ユーロに増加した。フランスとドイツは一帯一路に参加していないが、昨年は中国への輸出が大幅に増えた。 政府筋はイタリア経済の発展への寄与が少ないことを理由に協定の更新を取りやめるだろうと述べた。 この協定は24年3月に期限を迎え、イタリアと中国のどちらかが3カ月前までに書面で終了を通告しない限り自動更新される。

中国、南シナ海のマレーシア石油事業に懸念表明

[クアラルンプール 4日 ロイター] – マレーシアのアンワル首相は4日、同国の石油会社ペトロナスによる南シナ海でのエネルギー事業に対して中国政府が懸念を表明したと明らかにした。 ペトロナスはマレーシアの排他的経済水域(EEZ)内で石油・ガス事業を行っており、ここ数年は中国船と何度か遭遇している。 アンワル氏は、先週の中国訪問時の南シナ海関連の議論について国会で質問され、「中国も領有権を主張する海域でのペトロナスの大規模活動」に中国政府が懸念を示したと明かした。 また、中国政府に対し「マレーシアはこの海域をマレーシア領と見なしており、そのためペトロナスは探査活動を継続するということを強調した」と説明した。 ただ、中国が自国の権利と考えるなら、マレーシアは交渉に前向きだとし、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の領有権を巡る主張は交渉で解決すべきとの考えを示した。 中国は、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシアのEEZに食い込む南シナ海のほぼ全域を囲む「九段線」内で管轄権があると主張している。 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)傘下のアジア海事透明性イニシアチブ(AMTI)は先週、中国沿岸警備隊の船が過去1カ月、マレーシアのサラワク州沖でペトロナスが行う開発事業の近くで活動していたと明らかにした。 アンワル氏は、マレーシアと中国の船舶が衝突した場合、マレーシア政府は抗議文を出すと述べた。

ファミマTOB「安過ぎた」と認定、適正価格より300円-地裁

(ブルームバーグ): 伊藤忠商事が2020年に実施した子会社ファミリーマートに対する株式公開買い付け(TOB)に関連して、米アクティビストのRMBキャピタルなどがTOB価格は「安過ぎる」として公正価格の決定を求めた裁判で、東京地方裁判所が、適正水準より300円安かったとの判断を示していたことが31日までに分かった。   伊藤忠は20年7月から8月にかけて、50.1%を保有していた子会社のファミマに対し1株当たり2300円でTOBを実施し、成立。その後、株式併合手続きを経てファミマは上場廃止となった。RMBなど複数の元ファミマ株主は応募せず、同額での強制買い取りに応じたが、その価格が安過ぎると主張していた。   少数株主らが強い不満を持った主な理由は、ファミマが設置した特別委員会による主な価格算定結果(1株当たり2472-3040円)の下限をTOB価格が下回っていたため。会社はTOBには賛同しつつ、株主への応募推奨はしないという声明を発表していた。   ブルームバーグが入手した決定文によると、東京地裁は23日、公正価格を実際のTOB価格より13%高い2600円と決定した。理由として特別委員会が2300円は妥当な価格より安いと考えていた様子なのに、妥当でないと表現すればファミマが賛同意見を表明できなかった可能性があるためだと指摘。TOB価格は多数株主と少数株主の利害が適切に調整された結果とはいい難いと結論付けた。 「ごり押しTOB抑制に効果」と元株主   RMBの細水政和ポートフォリオマネジャーはブルームバーグの取材に対し、東京地裁の決定内容を認め、「特別委が少数株主の利益を守る存在として機能していなかったという主張が全面的に認められた意義は大きい。今後、親会社によるごり押しTOBを抑制する効果があると思う」と述べた。   決定に不服があれば、当事者は2週間以内に即時抗告を行うことができる。決定が確定した場合、TOB自体は成立しているため、ファミマ側が裁判を申し立てた元株主に差額を支払う。申し立てなかった元株主は支払いを受けられない。   ファミマの広報担当者は「係争中につき、回答は差し控える」とコメントした。伊藤忠にコメントを求めたが、今のところ回答は得られていない。 東芝など今後の案件に影響も   今回の東京地裁の決定は、今後のTOBに影響を与える可能性もある。複数のアクティビストを株主に持つ東芝は、官民ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が株式の非公開化を目指して実施するTOBを受け入れることを決めた。1株4620円で7月後半に開始される見通し。   東芝はTOBに賛同しているが、現時点で応募を推奨するか否かの意見表明はしておらず、TOB開始までに方針を決めるとしている。ファミマのケースと同様、JIPの提案しているTOB価格は東芝が設置した特別委員会の主な価格算定結果(1株当たり4661円ー7333円)の下限を下回っている。   専門家の間では東芝株主が今後、TOB価格の引き上げを要求してくる可能性があるとの声も聞かれる。   経済産業省が19年に改訂したM&A(企業の合併・買収)指針によると、経営陣による自社買収(MBO)や親会社による子会社の買収は、利益相反の問題があるため取引の是非や取引条件の妥当性、手続きの公正性について検討する特別委員会の設置が望ましいと指摘。特別委は中立ではなくむしろ少数株主や買収される企業の側に立って判断することを促している。   コーポレートガバナンス(企業統治)専門家のニコラス・ベネシュ氏は、そもそも日本の現行制度が100%未満の「『部分的な』公開買い付けを認めているのが問題だ」と指摘。結果的に多くの親子上場が許され、また買収者が会社を支配する代償としての「コントロール・プレミアム」を支払うことなく実質的に支配権を取得する方法が多すぎるとし、制度改革の必要性を説いた。 関連記事: オアシスなど公正価格求め地裁申し立て、伊藤忠のファミマTOBRMBが伊藤忠にファミマTOB価格の引き上げ要求、2600円にオアシス、ファミマTOB前に特別配当を要請ー1株最大1062円伊藤忠、ファミマへのTOBが成立-非上場化で競争力強化へ伊藤忠CFO:ファミマTOB価格引き上げず、不成立なら上場維持へ (第11、12段落に専門家のコメントなどを追加しました。更新前の記事は副標題の一部や第3段落の2文目の「特別委員会」を「会社」に訂正済みです) More stories like this are available on bloomberg.com ©2023 Bloomberg L.P.

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