Tuesday, June 6, 2023

金運を引き寄せる!お金持ちがやっている掃除術

家をキレイにすると風水や運勢学の観点から、金運アップに役立つといわれています。とはいえ、「時間がない」「汚れ過ぎていて自分では……」というような場合は、業者に任せるのも手ですよ。 金運を引き寄せるには、水回りに注目! もはや基本中の基本ともいえるのが、水回りをキレイにすることです。水には浄化する作用があり、水回りをキレイに保つことで良い氣を取り入れることに役立ち、悪い氣を流してくれます。 キレイにするべき場所は、トイレ、お風呂、キッチンの3カ所です。汚いモノを受け止めて流してくれるトイレは、風水や運勢学的にも要の場所。トイレは金運だけでなく、健康運にも直結しています。できれば毎朝のルーティンとして掃除に取り組みたいですね。 お風呂は、自分がまとってしまった良くない氣を洗い流す場所です。シャワー派の人も定期的に湯船に浸かって悪い氣を洗い流し、良い氣を取り込みやすい身体へ整えていきましょう。 食事を作るキッチンが汚れていると、無駄遣いしやすくなるともいわれています。最近、出費が多い、不必要なモノを買ってしまうことが多いという人は、キッチンを確認してみてください。 プロの力を借りてピカピカにする いくら掃除が好きといっても、プロにはかないません。そして、汚し過ぎてしまって自分の力では無理かも……という場合は、一度プロに任せてみては!? 実は私も、「どんな風に掃除をするのか?どんなグッズを使ってキレイにしてくれるのか?」が気になって、業者さんにお願いしてみました。私が依頼したのは、金運や開運を左右するといわれている水回り。キッチンとお風呂(含む洗面台)です。 複数の業者から見積もりを取り、内容を確認して業者を選びました。特にカビやすいお風呂場には、防カビコートもしてもらい2カ月以上経ちますが、キッチンもお風呂場もピカピカをキープしています。 ここで業者に依頼する場合の注意点をお伝えします。作業する内容によって、値段はまちまちなのですが、掃除代行は基本、お客様の家にあるモノを使って掃除をします。一般的なハウスクリーニングでは、業者が持ってきたグッズを使って掃除をしてくれます。 掃除代行は数千円からですが、ハウスクリーニングは最低でも1万5000円からです。業者によっては、豪邸を想定した価格設定しかない会社もあるので、自宅の広さにあった業者を選べば、その分安くすみます。 ちなみに私が取った見積もりでは、最低価格と最高価格の差額は2倍にもなりました。もちろん、一番お手頃な業者を選びました。 一度プロにやってもらいたい!という人は、ぜひ一度業者を利用してみてください。 文:飯田 道子(ファイナンシャルプランナー) 金融機関勤務を経てFP(CFP、1級FP技能士)を取得。独立系FPとして、各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。金運アップやポジティブお金など、カラーセラピーと数秘術を取り入れたアドバイスも得意。

50代で住宅ローンの残金が「1200万円」。繰り上げ返済と老後資金どちらが優先?

やがてくる老後に向けて、そろそろ本腰入れて貯蓄したい50代。とはいえ、住宅ローンや教育費など、まだまだお金がかかることが多くてなかなか貯蓄ができない…。そんな悩みを抱える人に向けて、お金のプロ・塚越菜々子さんがアドバイス。50代のリアルな家計を診断して、問題点を指摘します! 夫の定年退職後も住宅ローンが残っているのに子どもへの仕送りが… この記事のすべての写真を見る 「大病を患ったことで貯蓄が大きく減り、現在の総貯蓄額は100万円程度。老後資金にはたりないので不安です」と話すのは、山本えりこさん(仮名・54歳・パート)。夫(52歳)、長男(24歳)の3人家族で、二男(21歳)はひとり暮らし。住まいは持ち家一戸建てです。 また、住宅ローン残金が1200万円あります。繰り上げ返済すべきか、老後資金を集中的に貯めるべきか悩んでいます。さらに二男への仕送りがあと1年続きます。 「ねんきん定期便」で「年金見込額」をチェックしたところ、今の収入よりもだいぶ少なくなりそう。そもそも老後の生活にかかるお金がよくわからないので、たりるのかどうか心配です。私の仕事は技術職で70歳までは働けそうなので、夫の扶養内で続けるつもりなのですが…。 <MONEY DATA> 世帯手取り年収 750万円(ボーナスを含む) 総貯蓄額 100万円 住宅ローン残金 1200万円(残り15年間) ●プロのアドバイス:繰り上げ返済VS老後資金は老後資金を優先させる 繰り上げ返済よりも老後資金の優先をおすすめします。理由は「繰り上げ返済で住宅ローンは完済したけど、定年間際に老後資金がない」では困るからです。老後資金を金融機関から借りるのは難しいですが、住宅ローンはすでに借りているものなので焦って返済する必要はありません。ただし定年までに完済しない場合は、定年後に飛び出す分をどうするかを考えておく必要があります。 低金利の今は、預貯金だけではなく長期投資で貯蓄を増やすことも有効。いずれにしても、貯蓄があれば老後資金にも繰り上げ返済にも回せます。また、老後の生活費については、まず今の家計のムダを見直してから、計画しましょう。 <50代からでも間に合う老後資金のつくり方> 普通預貯金の金利がほぼ0%の今、預貯金では元金は貯まっても、お金を増やすのはなかなか難しい時代です。少額からの長期・積立・分散投資なら、リスクを抑えてお金をコツコツ増やすことができます。 投資は損をする可能性があります。自己責任に基づき、ご自身で判断をお願いします FPが50代のリアル家計を診断します! 「人生最後の貯めどきを逃しちゃ、ダメ!」と塚越さん。家計の問題点を洗い出します。 ●Check!(1) 長く働いて貯蓄を増やす 70歳まで働く予定というのは◎。厚生年金には加入しないとのことなので年金額を増やすことはできませんが、収入の一部を長期投資に回して貯蓄を増やしましょう。 ●Check!(2) ボーナスで月の赤字を補てんするのはNG 「ボーナスで月々の生活費の不足分を補充してます」と山本さん。月の収支が赤字になる場合は支出を減らして調整しましょう。ボーナスでずるずる補てんはNGですが、年間の特別費として計画的に使うならOK。 ●Check!(3) 夫こづかいは月収の1割が目安 仕事での飲み会代、散髪代、洋服代は別途支給しているとのこと。月収の1割を超え、プラス別途支給もあるのは多すぎるかも。夫と相談して減額を検討して。 ●Check!(4) 重複している保険を見直す 保障内容が重複しているものは、どちらかを解約。医療保険は病院にかかることが多くなる70代以降も保障が続いているか、保険期間の確認をして。また長男の保険料は長男が自分で払うルールに。 ●Check!(5) 仕送りが終わったら全額貯める 1年後、二男への仕送りが終了したら、全額貯蓄に回すようにすれば、年96万円貯まります。夫が60歳になるまでには600万円以上貯まる計算。老後資金の貯蓄にはずみをつけて。 この先の暮らしを豊かに過ごすためには、50代の今こそ、家計の見直しが必須です。支出を抑えられる費目を探って、1円でも多く、貯蓄を増やしていきましょう。 『これからの暮らし by ESSE vol.04』では今回紹介した以外に、50代~70代の暮らし達人が「買ってよかったもの、ずっと大切にしたいもの」や、老後のお金の不安まるごと解決、飛田和緒さんとめぐる「大人の湘南・鎌倉」、坂東眞理子さんの人生お悩み相談、糖質オフ2品献立、自律神経整え習慣など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。

「1000円カット」美容院とはどう違う?メリット・デメリット カットを失敗しないコツ

物価高で家計が苦しい中、美容院代を節約できる「1,000円カット」に注目が集まっています。 低料金でヘアカットできる魅力がある反面、“安かろう悪かろう”という印象がある方もいるでしょう。 この記事では、「1,000円カット」のメリット・デメリットと美容院との違いを合わせて紹介します。 1,000円カットと美容院の違い 言わずとも知れているかと思いますが、1,000円カットは「料金の安さ」が特徴です。 一般的な美容院のカット料金が3~5,000円と考えると、1,000円台でカットできるのはかなり経済的。 しかし、1,000円カットは価格が安い分、美容院とはカットの流れや仕組みが異なります。 美容院との違いを、1,000円カットのメリット・デメリットと合わせて見ていきましょう。 メリット ヘアスタイルによりますが、早ければ10分程度でカットが終了します。 商業施設内に店舗のある1,000円カットも多く、買い物途中の空き時間にサクッと済ませられるスピーディーさも魅力のひとつです。 美容師さんとの会話が最小限 1,000円カットは回転が早いため、美容師さんとの会話が最小限です。 施術中の会話が苦手な方にとっては、気を遣わなくて良いことも利点でしょう。 予約がいらない 店舗によりますが、1,000円カットは基本的に予約なしで来店できます。 思い立ってすぐにカットしに行けるので、美容院よりも気軽に通いやすいです。 押し売りがない 1,000円カットでは、美容院でありがちな営業トークがありません。 サロンで使っている商品の説明や、トリートメントなどのオプション説明ないため、断りにくい方にはメリットと言えますね。 デメリット シャンプーやヘアセットがない 効率重視の1,000円カットでは、カット後のシャンプーやブローを行いません。 基本的にはヘアセットもブローもセルフで行うため、美容院と比べると手間に感じます。 細かいカウンセリングはできない 1人あたりの施術時間が短いため、カット前のカウンセリングは短時間です。 美容院のように、自分の希望をゆっくり伝えることはできません。 カウンセリングは、前髪・長さ・サイドなど、ポイントを絞って簡単に伝えられる程度です。 混んでいる時は待ち時間がある 予約なしの店舗の場合、カットは来店順です。 混雑していると、順番が来るまでに30~40分待つことも。 カット自体は短時間で終わりますが、待ち時間を含めると1時間近くかかる場合もあります 1,000円カットは、美容院では当たり前に行っているサービスがない分、低料金でカットできることが最大の強みです。 1,000円カットが向いている人 メリット・デメリット、美容院との違いを踏まえた上で、1,000円カットが向いているのはどんな人か考えてみました。 ・スピードを重視したい ・ちょっとそろえていきたい時 ・カット中の会話が苦手 ・押し売りが苦手、断れない ・ヘアスタイルに強いこだわりがない ・クオリティの高い仕上がりを求めない 1,000円カットは、髪型にそれほどこだわりがなく、スピード感と安さを重視したい方におすすめです。 カラーやパーマを行っていない店舗も少なくないので、「カットだけ」済ませたい方にも向いています。 逆に、シャンプーやヘアセットも希望する方やカウンセリングの時間がほしい方、トレンドのヘアスタイルに挑戦したい方には不向きです。 1,000円カットで失敗しないコツ 初めて1,000円カットへ行く方は、ヘアカットを失敗しないか不安な方は少なくないでしょう。 1,000円カットは1人にかけられる施術時間が短いため、イメージが合わずに失敗することもあります。 ヘアスタイルをオーダーする時は、次の3つを意識し、“切って失敗”を防ぎましょう。 1,000円カットで意識すること3つ 結ばずに来店する 希望するヘアスタイルの写真を用意する イメチェンしない・ 洗面台のない店舗では、髪を濡らさずそのままカットに入る場合もあります。 そのため、髪は結ばずにクセのない状態で来店するのが望ましいです。 1,000円カットは1人にかけられる施術時間が限られているため、大胆なヘアスタイルの変更は避けた方が無難です。 […]

収入や所得が低い方は利用できる「年金生活者支援給付金制度」 受給対象、支給要件、手続きについて紹介

2019年の10月1日から、生活必需品以外への消費税10パーセントが実施されました。 同じくして2019年10月から「年金生活者支援給付金制度」が始まりました。 これは、消費税の引き上げ分を活用して、年金やその他の所得が一定の金額以下の方に支給される制度です。 物価高が続く中、少しでも年金に上乗せする給付金があれば家計が助かるのではないでしょうか。 今回は、生活の助けになる「年金生活者支援給付金」についてみていきます。 年金生活者支援給付金の対象者とは 年金生活者支援給付金の対象となる年金は、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の3つです。 老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の年金によって、受けられる要件や受け取れる金額が異なります。 例:各年金で給付対象となる収入や所得 ・ 老齢基礎年金…前年の公的年金収入とその他の所得との合計金額が88万1,200円以下 ・ 障害基礎年金…前年の所得が、4,72万1,000円以下 ・ 遺族基礎年金…前年の所得が、4,72万1,000円以下 参照:厚生労働省 年金生活者支援給付金制度 老齢基礎年金の収入額に、障害年金や遺族年金等の非課税収入は含まれません。 障害基礎年金と遺族基礎年金の場合、障害年金や遺族年金等の非課税収入は前年の所得に含まれず、扶養親族などの人数に応じて、所得金額の上限があがります。 それぞれ1か月あたりの収入や所得に換算すると、老齢基礎年金は約7万3,433円、障害基礎年金・遺族基礎年金は約39万3,416円になります。 障害基礎年金と遺族基礎年金を受け取っている方には、年金収入だけではなく、働いて収入を得ている方もいるかと思います。 そのような方でも、働いて得た金額が一定以下である場合は、対象者になります。 ひと月あたりの金額が給付対象になる収入や所得より下がっており、1年間上がる見込みがない場合は、その次の年に年金生活者支援給付金の対象者になる可能性があります。 頭の片隅に置いておくことで、ある日突然届く給付金の書類や手続きに戸惑いません。 また、給付額は毎年度、物価変動による改定がありますので、物価が上がっても安心な制度であると言えます。 老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の支給要件 支給要件については、所得などの金額的な支給要件以外にも要件があります。 老齢基礎年金の場合は、 同一世帯の全員が市町村民税非課税で、 65歳以上の老齢基礎年金受給者の方となります。 障害基礎年金と遺族基礎年金の場合は、シンプルにその基礎年金の受給者であることとなります。 障害基礎年金や遺族基礎年金では同一世帯の方の課税状況によらないため、自分の支給要件がそろえば受給することができます。 給付金を受け取るには 前年度の所得が下がり支給要件に当てはまった方には、日本年金機構から簡易な「年金生活者支援給付金請求書」が届きます。 請求書に、氏名などを記入し、返送すれば手続きは完了です。 1度受給手続きを行った方で、翌年以降も支給要件に当てはまる場合は、再度の手続きは必要ありません。 支給要件に当てはまらなくなった場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。 給付金の手続きで注意したい点は、 年金生活者支援給付金請求書を詐欺だと思い手続きをしていない、 もしくは日本年金機構の職員などと名乗る不審な電話や訪問を受けているなどの問題が起きる可能性があることです。 身内に給付要件を満たしている方がいる場合は、1度本人に給付金を受け取れているか、年金関連で電話で口座番号や暗証番号を聞かれていないかを確認することをおすすめします。 参照:日本年金機構 簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ 受給要件にあてはまる場合は確認しよう 今回は、年金生活者支援給付金制度についてみてきました。 今は食品やガソリン代など価格が高くなり、支出が増えている時世です。 少しでも、収入が増える制度があることは、生活していく上の安心材料になります。 金銭的な余裕があると、本人もそうですが家族も精神的に追い詰められることなく、安定した生活を送ることができます。 受給要件に当てはまっている家族がいる場合は、ぜひ、本人に手続きをしているか、受けとっているかなどを確認してみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)

就活で「学歴フィルター」がなくなり経験重視になれば“もっと悲惨なこと”になる

 就職活動では大学名などでふるいを掛ける「学歴フィルター」があるといわれている。その存在を公言する企業はないものの、毎年のように学歴フィルターが話題となり、書類選考の段階で“門前払い”されることに不満を抱く就活生もいるようだ。では、学歴フィルターがなくなれば、よりフェアな採用が実現するのだろうか。近著が話題の、元少年院教官という異色の経歴を持つVTuber「犯罪学教室のかなえ先生」が、実際の相談に回答する形で、学歴フィルターとの向き合い方について解説する。 【画像】相談に回答してくれたのは、日本初の元国家公務員の男性VTuber「犯罪学教室のかなえ先生」 【お悩み】なぜ採用には「学歴フィルター」がある? もっと学生の内面を見てほしい!  就活生です。学歴フィルターに悩んでいます。教育にお金をかけることができる家庭の割合の多い上位大学生が、就活でも有利な状況に不満があります。私は大学に入ってから将来のために資格などもたくさん取得しました。しかし大学に入るまでの経歴を重視される結果、上位の大学卒業者が多い企業に応募すると書類選考で落とされてしまいます。人生経験やその人の内面を重視する選考方法にならないのはどうしてでしょうか? 【回答】学歴は“品質証明書”。経験重視になると就活はもっと悲惨になる  うわー、めっちゃわかるわー……おっと、つい心の声が出てしまいました。  さて、回答する前にまずは「学歴フィルター」の説明をしなければなりませんね。これは、企業が採用希望者の選考活動において非公式に設けている、卒業予定の大学名や学歴だけで就活生をふるいにかけるシステムのことを言います。  一応、非公式なものですから、一般に採用側の企業は認めていませんけども、足切り基準を満たした学歴(本当は学校歴が正しい表現です)がないと、企業の採用説明会を予約しようとしても常に満席と表示されて参加できないということが実際にありました。  これって、すごく不公平に感じますよね? 皆さんはどう思われますか? もしかしたら、学歴フィルターを感じたことがある人もいるかもしれませんね。  ここで少し考えてみましょう。  なぜ、就職活動において、学校歴や学歴が重視されるのでしょうか? 採用する側の企業はどのような人材を求めているかという視点で考えます。単純に突き詰めると、採用後会社に利益をもたらす可能性の高い人間だと言えそうですね。  このような意図で採用選考が行われる場合、学歴は「その人が大学に入るまでにどれくらい努力をしてきたか・努力できる人だったのか」が一目でわかるその人の品質証明書として機能すると思いませんか?  もちろん、学歴だけでその人が本当に優秀かなんてわかりません。しかし、「学歴を手にするまでの努力と望ましい結果を出すことができる人間である」と仮の人物評価を置くことはできそうです。そういう意味で「学歴フィルター」は、採用する側の選考にかかるコスト(時間や労力など)削減に寄与するシステムだと言えます。  もしも、これで足切りを設けないでいると、どうなるでしょうか?  皆が憧れる大企業だと何千、何万人と応募者が集まってしまい、今度は採用側の負担が大幅に増えて、丁寧な選考が難しくなってしまいます。利益をもたらす優秀な人材を獲得するための採用活動なのに、就活生の見極めにコストがかかりすぎるのは本末転倒です。  ちなみに、『就職白書2020年』によると、2020年新卒採用における1人あたりの平均採用コストは約94万円でした。採用する側も非常にお金をかけていることがわかります。  ここでもう一度相談内容に目を移してみましょう。もしも、「学歴ではなく経験などを重視するべきだ!」と社会が変わってしまうと、どうなるのか?  私がもし経済的に豊かな家庭で子どもを育てているならば、幼少期から海外に留学させたり、休日はボランティア活動に連れていくなど、持てる資本をフルに活かして子どもに様々な経験をさせてあげると思います。  大学に入学することができたら、親(自分)のお金でNPO法人を設立させ活動させてみたり、有名企業役員とバンバン会食させてコネを作らせてあげると思います。  これは、家庭にお金があるからできることです。  一方、経済的に苦しい家庭環境の場合はどうなるでしょうか? おそらく貧困家庭出身者が、親の課金で経験値武装した上流階級出身者たちにオーバーキルされる光景があちこちでみられるようになるでしょう。  これは冗談や空想の仮定の話ではありません。実際にアメリカの大学入試の現場などで起こっていることで、子どもにお金をかけることのできる富裕層の子どもほど入学が有利になっています(ぜひ調べてみて欲しい!)。  この現実を知ると、実は日本の学歴重視選考はまだマシな選考方法と言えます。  学歴フィルターはクソゲー特有のバグではなく、育ちの資力がなくとも学歴を獲得できれば生活環境を好転させるチャンスを得られるという優しい仕様なのです。  もちろん何度も話している通り、幼少から教育にお金をかけることができる家が有利なのは間違いありませんが、推薦入試やAO入試、スポーツ特待生選抜など、学歴獲得の手段も多様化し、さらに無料で視聴できるYouTubeにも受験情報がたくさん投稿されるようになりました。見えないところに人生逆転のチャンスは数多く転がっています。  あとはやるかやらないかの話です。  大学時代の資格取得の話も、これまでの人生の積み重ねが土台にあって評価されます。相談してくれたアナタは不満に思うかもしれませんが、他の人よりも高いハードルがあることをまず受け入れた上で、どうすれば越えられそうか考えてみて欲しいです。  行動を起こしましょう。そうすれば、アナタの望みが叶う可能性はグッと高まります。なんだか自己啓発本みたいで嫌ですね(笑)。 【プロフィール】 犯罪学教室のかなえ先生/元・法務教官(少年院の先生)で、日本初の元国家公務員の男性VTuber。2020年9月よりスタートしたYouTubeチャンネル『犯罪学教室のかなえ先生 V Criminologist』を運営。同配信には視聴からの悩みが多く寄せられ、それらに対する“愛のある辛口コメント”にも定評がある。経済産業省「未来の教室」プロジェクトのSTEAMライブラリーに学術系VTuberユニット「まなぶい」のメンバーとして教育コンテンツを提供するなど活躍の場を広げている。 ※犯罪学教室のかなえ先生・著『人生がクソゲーだと思ったら読む本~生きづらい世の中の突破術』を元に構成

老後に、孤立しない! 楽しくお得に時間を過ごせる趣味や活動って?

老後は趣味をもったり、外に出てコミュニティーに参加することが大切 会社に勤務をしていたときは、職場の仲間や、取引先・お得意さまなど人との関わりがあり、コミュニティーがある世界が当然だったという人も多いと思います。 しかし退職後は、自分から進んで社会との関わりをもつように行動しないと、孤立してしまいがちです。孤立することで、誰とも会話がなく認知症が進んでしまうともいいます。 社会との関わりをもつためには、趣味をもったり、外に出てコミュニティーに参加したりすることが大切です。ただ、できるだけお金をかけずにできることにでなければ長続きしません。 今回は、お得にできる、孤立しない楽しめる趣味や、活動をご紹介します。自分にあったものが見つかる手助けになればと思います。 ▼季節ごとにウオーキングやハイキングのイベントに参加する 鉄道会社等では、季節ごとに、ウオーキングやハイキングを実施しています。500円程度で参加できるものが多いです。季節の花々を楽しみ、鳥のさえずりを聞くことで、気持ちも豊かになり、健康にもいいですね。 ▼近くの公園のお得な年間パスポートを購入する 近くの公園のお得な年間パスポートを購入して、季節の移り変わりを楽しみましょう。友人は新宿御苑の年間パスポートを購入して、お散歩を楽しんでいます。 今まで気づかなかった景色が目にとまり、小さなことに感動を覚えることでしょう。一人で行くのもいいでしょうし、たまには知り合いを誘ってみるのも楽しいですね。 ▼合唱(コーラス)に参加する 腹式呼吸で発声することは、とても健康にいいです。気持ちも豊かになります。 ▼園芸・ガーデニングをする 野菜や花を育てると、植物の成長過程が観察できて心が豊かになります。また、食べられる野菜を家庭菜園で育てることで、食費の節約にもつながることでしょう。 自宅で家庭菜園を始めると近所の人に野菜をあげたりできますし、お花が好きな人と会話がはずむこともあるでしょう。 ▼ボランティアをする ボランティアには清掃や介護、育児など、いろいろあります。自分にあった活動を探して、地域のボランティアに参加すると、多くの人と交流もできます。 ▼地域の公民館やクラブ・サークルに参加する 地域の公民館では、シニアが参加するサークル活動があります。囲碁・将棋など、同じ趣味をもつ仲間との時間は楽しいでしょう。 スポーツをしたい人で、体力に自信がない人は、卓球がおすすめです。卓球は、最初は遊戯感覚のピンポンでいいと思います。楽しくピンポンしていると、だんだんスポーツとしての卓球の楽しみ方がわかってくることでしょう。 ▼熟年アカデミー(地域の高齢者向け講座)に参加する 高齢者向けの内容で、参加費も1000円くらいと安価で参加できる内容のものが多くあります。地元で無料配布されるタウン誌、新聞などに掲載されていることが多いです。 住んでいる地域によって呼び方は違うと思いますが、例えば、書道、茶道、アロマテラピー、カラオケや、初めての英会話、数学講座、話し方教室、終活、マネー教室などがあります。 身体を動かすものですと、ストレッチや太極拳、ヨガ教室など、楽しみながら健康な生活に役立つヒントになりそうなものが多いです。 これらの講座を教えている人は、現役世代のキャリアを生かして講師になっている人もいます。みなさんも講師にチャレンジしてみませんか。 今まで長い期間で身につけた知識や能力は、自分にとっては、当たり前のことに感じてしまうことかもしれませんが、一般の人にとっては、勉強(学び)になることが多いのです。もしかしたら、安価かもしれませんが、講師料(報酬)がもらえるかもしれません。 ▼大学の一般の社会人向けの講義に参加する 実際の大学の教授が、社会人向けに講義をしてくれるものがあります。経済や歴史などを学ぶことができます。 ▼公民館の喫茶店でひと休み 疲れてほっとしたいときはいいですね。公民館の中の喫茶店は、リーズナブルな価格に設定されていることもあります。喫茶店の常連さんと顔みしりになり、話がはずむこともあるでしょう。 ▼ラジオ体操に参加する 早起きは健康にも良いですし、一日を有効に過ごせることでしょう。無料や格安で参加することができます。ラジオ体操を通して仲間ができるとも聞きますのでおすすめです。 ▼無料の施設(ミュージアム・企業がやっている博物館)を訪れる たとえば、東京都内ですと、東京ガスネットワークの「GAS MUSEUM」では、一般の人も無料で見学でき、都市ガス事業の歴史などを楽しむことができます。他にも無料で利用できる施設を探してみましょう。無料で利用できる施設であれば、友だちも誘いやすくなりますね。 シニア世代は、お金をかけずに生活を楽しむことができると、孤立感を感じることもなくなるでしょう。出歩くことで仲間もできますので、性格も前向きになり、過剰な節約意識にとらわれることなく過ごせるようになります。 監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー) 都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

姉と弟の相続はもめやすい ~群ようこさんの「老いとお金」を読んで~

主人公(作者と思われる)が、高額納税者として新聞に掲載されてしまったことが、事件の発端です。 今は、廃止されていますが、昔(2005年まで)は、あったこの制度おかげで、主人公(Mさんとします)が名実ともに売れっ子作家になったことが、世間に公表されてしまったのです。 家を建てるということ 人気作家になったことを知った母から、「念願の持ち家」をおねだりされることから家族の関係に変化が生まれました。 Mさんの母は離婚されており、シングルマザーで、MさんとMさんの弟である二人を育ててこられたそうです。 Mさんが、その恩に報いたいとおもい、資金を提供することで話は進みます。 その際、弟さんというと一般の会社員であり、Mさんと同様に母に同額の資金提供するのは無理があったようです。 きょうだい格差 未成年の時、同じ境遇であった「きょうだい」が、成人後に格差が生じてしまうと、「わだかまり」がどうしてもできてしまうのは、自然なことかと思います。 同じ親に育てられ、同じ家に住み、同じものを食べていた者同士が、気づいたら、全然違う境遇になっているとしたら、一方に嫉妬の気持ちが生じ、お互いその気持ちを理解できず、きょうだい間がおかしくなってしまった…筆者も同様の事例をみてきました。 Mさんは、弟と絶縁したと書いています。 家の名義が共有でした Mさんが母に家の建築資金をプレゼントしたつもりが、家の名義が弟と共有名義になっていたことが判明したとこから、姉弟の仲がおかしくなります。 そもそもプレゼントするのであれば、母名義の家になる訳です。 ところが、共有になってしまったのは、税金対策だった(私見)のだと思います。 Mさん自身、ひょっとしたら母に寄付することでMさん自身納税額が少なくなるかもと思われたかもしれません。 ところが、母にプレゼントすると、今度は、もらった側の母に贈与税がかかるのです。 エッセイの記事から推定した、7,500万円を仮に贈与したとして贈与税を計算すると約3,600万円の贈与税がかかります。 この贈与税を回避するには、家の名義はMさんにし、居住するのは、母とすればいいのです。 ただこの家には、母と弟が居住することになっていて、家の建築資金を弟も三分の一出すことで話が進んでいたようです。 その結果、姉と弟の共有名義の家になったようです。 節税できても共有は、争族の種に その後、その家に住んでいないMさんに、弟は、合い鍵も渡してくれない、とのけんかが始まったのです。 「それなら、家の持ち分を買い取ってください」と弟にもちかけ、しぶしぶ売買成立したものの、弟とは絶縁することになったようです。 筆者は、弟の言い分を是非、聞いてみたいです。 きょうだいの共有は、絶対やってはいけません。では、親子はというと、これもいけません。 なぜなら、親が亡くなれば、相続で子にいつか渡り、単独名義になる可能性も高いのですが、子が複数いる場合、共有名義に入っていない子にしてみると、家の持ち分をもらってもしょうがないので、自分の相続分として、かわりに現金(代償金)がほしいと言ってくる可能性は高いし、公平の点でも当然のことです。 親子で共有にする場合は、代償金を覚悟しておいた方がいいです。 準備できないようであれば、共有はやめた方がいいです。 保険の解約も Mさんは、加入していた生命保険を解約した経緯も書いていました。 保険には、死亡保険の受取人欄があり、通常相続人の誰かを記入するわけですが。 子供のいないMさんの場合、第一順位としては、母となりますが、母は先に亡くなっている可能性が高く、弟が受取人となる可能性があることに気づきます。 そこで、その可能性を切るため、その保険を解約したそうです。 姉と弟の関係が、税金対策のため(私見)、共有にしたばかりに残念なことが起きてしまったようです。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)

イオンラウンジが全国的に本格再開へ 再開店舗・利用条件・利用方法の確認を忘れずに

先日一部店舗で再開されたイオンラウンジ、6月以降本格的に再開されるようです。 そこで今回は、再開後変わった点なども合わせて紹介します。 「イオンラウンジ」とは ≪画像元:イオンスマートテクノロジー≫ イオンラウンジとは、買い物の合間にゆっくりと滞在できる、ラウンジ会員限定のサービスです。 会員専用空間で休憩ができ、無料ドリンクも利用できます。 新型コロナウイルスの影響でサービスを停止していましたが、5月8日より、イオンモール苫小牧、イオンスタイル仙台卸町、イオンモール木更津、イオンタウンユーカリが丘、イオンモール船橋、イオンモール香椎浜、イオン南風原店の7店舗で、イオンラウンジが再開しました。 6月以降、イオンラウンジが順次再開へ ≪画像元:イオンスマートテクノロジー≫ そして6月からは新たに90店舗のイオンラウンジがオープンします。 公式サイトに「営業再開日:2023年6月1日 店頭予約開始日:2023年5月26日」「営業再開日:2023年6月5日 店頭予約開始日:2023年5月29日」の記載がある店舗が対象です。 「営業再開日:6月以降順次 店頭予約開始日:6月以降順次」「営業再開日:9月以降順次 店頭予約開始日:8月下旬以降順次」と記載の店舗は、まだ具体的な再開予定が発表されていません。 栃木、群馬、岐阜、山梨、岡山、鳥取、香川、熊本以外の39都道府県では、どこかのイオンラウンジがオープンします。 とはいえ、「営業再開日:6月以降順次 店頭予約開始日:6月以降順次」のお店も、再開は近そうですね。 お近くのイオンでラウンジが再開するか、確認してみましょう。 イオンラウンジの利用条件が変更 イオンラウンジ利用の際には、利用条件を今一度確認してください。 実は、イオンラウンジの利用条件が以下のように変更されました。 ・ 利用頻度:月5回 ・ 利用時間:1回につき30分まで ・ 同伴者:1名まで(お子さんは3歳より) イオンへ買い物のたびに利用、というわけにはいかなそうです。 年間100万円以上利用のイオンカード会員 対象者も変更があり、対象者へはダイレクトメールが送付されます。 まず、年間100万円以上利用のイオンゴールドカード/イオンカード会員が対象です。 公式サイトより、対象券種を確認してください。 毎年1月11日~翌年1月10日(3月請求~翌年2月請求)でのショッピング、クレジットカードに紐づく電子マネーWAON決済の合計金額で集計します。 WAONへのクレジットチャージ・オートチャージ、モバイルWAON/ApplePayのWAON利用金額は対象外、複数カードの合算はできません(家族カードの利用分は本カードに合算)。 以前は、イオンゴールドカードを持っているだけで対象でしたが、条件が変更されました。 ラウンジを利用するための利用金額も、以前の40万円から100万円にアップし、年間100万円以上カードを使わないとゴールドカード会員であってもラウンジを利用できません。 一定以上の株式を保有するイオングループの株主 ≪画像元:イオン≫ 所定の株数を保有しているイオン関連企業の株主も、ラウンジを利用できます。 対象企業と株数は、以下の通りです。 ・ 100株以上:イオン(株)、イオン九州(株)、イオンディライト(株)、マックスバリュ東海(株)、イオンファンタジー(株) ・ 200株以上:イオンモール(株)、イオンフィナンシャルサービス(株)、ミニストップ(株) ・ 500株以上:イオン北海道(株) ・ 1,000株以上:(株)ジーフット ・ 1,500株以上保有:(株)コックス イオン(株)のみ毎年2月末、8月末時点での保有株数にて判定、その他各社(10社)は毎年2月末時点での保有株数にて判定されます。 ちなみに、イオン(株)の株式を100株以上保有していると、最大7%キャッシュバック、各種割引・優待を受けられる「イオンオーナーズカード」が発行されますので、これを目指すのもいいでしょう。 事前予約が必要 ≪画像元:イオンスマートテクノロジー≫ 対象者であっても、飛び込みでイオンラウンジを利用できず、事前予約をしなければいけません。 イオンのトータルアプリ「iAEON」、または店頭タブレットからも事前予約が可能です。 予約したら、指定日時に来店し、チェックインQRコードを読み取らせるか、チェックイン番号を入力することで、チェックインが完了します。 チェックインレシートが出力されるのでそれを受け取り、店頭スタッフへ提示してラウンジへ入室してください。 […]

「50歳をすぎたら生命保険も医療保険も不要」というお金のプロが「これだけは必要性が高い」と説く保険

家計の見直しはどこから始めるべきか。経済コラムニストの大江英樹さんは「無駄な支出の中でも最も大きなものは『不要な保険』だ。見直しをすることで貯蓄を1000万円増やせることもある。それでも絶対入っておいたほうがいい保険がある」という――。 ※本稿は、大江英樹『50歳からやってはいけないお金のこと』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。 最も大きな「無駄な支出」 無駄な支出で最も大きなものは不要な保険でしょう。 誤解のないように申し添えておきますが、私は保険というのはとても大事なものだと考えています。人類が考え出した偉大な叡智の一つだとさえ思っています。なぜなら、保険というのは自分一人の力ではどうにもならない経済的な問題が起こった時にそれを解決してくれるからです。 ということは、自分一人で解決できる経済的な問題であれば、保険に入る必要はないということですね。では、ここから具体的に考えてみましょう。 保険が必要な3つの条件 私は、保険を絶対に利用すべきなのは、次の3つの条件が揃(そろ)ったケースだと思っています。 まずはじめは「めったに起こらないこと」です。めったに起こらないからこそ、安い保険料でたくさんの補償が得られるのです。しょっちゅう起きることなら保険料がとても多額になってしまいますから、入るべきかどうかは慎重に考えるべきです。 2つ目は「もし起こったら自分の蓄えでは到底まかなえないこと」です。実はこれが保険の一番キモになる部分です。自分の蓄えで何とかなるのであれば保険に入る必要はありません。貯金をしていればいいだけです。自分の貯金では絶対無理と言えるほどの巨額の負担があるからこそ、みんなが少しずつお金を出し合い、不幸にしてそんな目に遭ってしまった人にそのお金を回してあげる。まさに保険の相互扶助の考え方はここにあります。 そして3つ目は「それがいつ起きるかわからないこと」です。あらかじめ起きることがわかっていれば、それに備えてお金を準備することもできます。しかし、往々にして不幸は突然やってきます。それまでにお金の蓄えが間に合わないこともあります。だからこそ保険が必要なのです。 最も必要性が高いのは自動車保険の対人賠償 このように考えていくと、入る必要性が高い保険の最もわかりやすい具体的な例は、自動車保険の「対人賠償」です。 自動車を運転していて事故を起こし、相手を死亡させるなどということはめったに起きることではありません。でも、もし起きてしまったら、何億円もの賠償金はとても自分の蓄えで払うことは無理でしょう。それに、車を運転している限り、いつこのような人身事故が起きるかはわかりません。だからこそ、車を運転するなら、対人賠償無制限というのは絶対入っておくべき保険なのです。 恐らくほとんどの人は、自分が運転していて死亡事故を起こすなどということは、生涯経験することがないでしょう。そんなめったに起きないことだから年間数万円の保険料で何億円もの賠償金をまかなうことができるのです。これこそが保険の意味であり、重要な役割です。 ところが、車両保険の場合はどうでしょう? 車両保険というのは、言わば自損事故に対する補償です。こちらは人身事故と異なり、割とよく起きることです。車庫入れする時にちょっと擦ったりすることはよくあります。よく起きるからこそ、保険料が高いのです。ですから、中古で車を買った時は車両保険には入らないという人も結構います。 生命保険は必要か? このように論理的に考えていくと、自ずと保険に入るべきケースと保険が不要なケースが明らかになってきます。 例えば生命保険。会社を定年退職した人にとって、生命保険はほとんど無用と言っていいでしょう。生命保険の役割は、一家の働き手が亡くなってしまった時に残された遺族の生活保障にあります。したがって、独身で扶養者もいない人であれば生命保険は不要ですし、定年になった人で子供が既に独立しているのであれば、やはり生命保険に入る必要はありません。 まだ年齢が若くて子供が小さい、そして配偶者が働いていない場合には生命保険に入った方がいいと思いますが、その場合でも、「遺族年金がいくらぐらいもらえるのか?」、会社員であれば「勤めている会社に遺族補償や弔慰金といった制度がないか?」といったことを調べ、いくらぐらいの金額が受け取れるかを把握した上で、足りない分だけ掛け捨てで保険料の安い生命保険に入ればいいのです。 年輩の人で生命保険が必要なのは数億円の資産を持っている人です。そういう人が相続税対策として入ることは有効ですが、普通の人であれば、高齢者に生命保険は必要ありません。もちろん私も生命保険には全く入っていません。 医療保険よりも貯金が大事 同様に、医療保険に入るかどうかも慎重に考えるべきです。 多くの人は誤解しているようですが、民間の医療保険というのは別に治療費をまかなうためのものではありません。治療費をまかなうのは公的な医療保険、つまり会社員であれば健康保険組合などであり、自営業の人などは国民健康保険です。一度自分の給与明細を見るとわかると思いますが、健康保険料としてかなりのお金が引かれているはずです。これが病気になった時のための保険料です。 では、民間の医療保険というのは、一体何のためにあるのでしょう? それは公的な医療保険ではカバーできない部分をまかなうためです。具体的に言えば、入院した時の食事代、同じく入院して個室に移る場合の差額ベッド料、そして病院に通うためのタクシー代といった部分です。これらは公的な医療保険ではカバーされません。でも、よく考えてみてください。これらの費用は貯金があれば何の問題もありません。 公的医療保険の充実ぶり それに、治療費に関しても公的医療保険には「高額療養費制度」というのがありますから、入院して高額になったとしても自分が負担する治療費はせいぜい10万円に満たないぐらいです。 さらに言えば、大企業に勤める人であれば自社の健康保険組合があり、独自の「付加給付」がある場合もあります。この場合、企業によって金額は違いますが、多くは自己負担の上限が2万円とか3万円と定められています。この場合、どんなに医療費がかかっても自分が負担する金額はその金額までですから、民間の医療保険に入る必要は全くありません。 実際、民間の医療保険が国内の保険会社で販売されるようになったのは2000年頃からです。だとすれば、それまで病気になった人はどうしていたのでしょうか? 決して治療が受けられなかったわけではありません。公的な医療保険でカバーされていたのです。 民間の医療保険に入っていないからといって無保険というわけではありませんし、心配する必要は全くないのです。 高度先進医療についてはどうか 最近では、高度先進医療にお金がかかるので医療保険に入った方がいいという意見も多く聞かれます。 たしかに高度先進医療には公的医療保険が適用されません。でも、これは順序が逆なのです。 なぜ高度先進医療に公的医療保険が適用されないのかを考えてみましょう。それは、その治療の効果が確認されていない実験的なものだからです。十分な効果が見込まれるものであれば、公的医療保険が適用されるはずです。 患者さんにしてみれば、藁をもつかむ気持ちで、実験的な治療でも試してみたいという気持ちはよくわかります。でも、お医者さんによっては、そういう治療を勧めない、あるいはやりたくないという人もいるでしょう。なぜなら失敗する可能性も大きいし、そうなった場合、最悪、医療訴訟ということも考えられるからです。実際に私の友人には何人も医師がいますが、一様に高度先進医療には慎重な姿勢です。 高齢期に必要なのは「保険」よりも「現金」 このように冷静に論理的に考えると、入るべき保険と入る必要のない保険が見えてきます。ところが、どうやら日本人は世界一保険が好きな国民のようで、かなり過剰に保険に入っているように思えます。 公益財団法人生命保険文化センターが3年に一度「生命保険に関する全国実態調査」をおこなっています。直近の2021年度の調査を見ると、生命保険で払い込む保険料は全世帯平均で年間37万1000円となっています。これが中高年齢層になると増える傾向があります。50代前半では43万2000円、50代後半になると43万6000円。60代前半では38万4000円といったん減少しますが、60代後半には再び43万6000円と増加しています。 前述したように、高齢期になれば生命保険に入る必要があるかどうか疑問です。むしろ、高齢期に必要なのは保険ではなくて現金です。保険はその保険がカバーする事態が起こった時にしか支払われませんが、現金を貯めておけば何にでも使うことができます。 保険の見直しで+1000万円の貯金ができる 毎年40万円以上も保険料を払い続ける、それも自分が死んだ後に支払われる生命保険にそんな金額を払い続けるよりも、その分を貯金しておけば、50歳から70歳までの20年間で800万円以上になります。 病気になった時は公的医療保険で治療費をまかない、個室に移りたい場合やタクシーで病院に行きたい場合は、生命保険料の代わりに貯めていた貯金から使えばいいだけです。そう考えると、医療保険もやめてしまえば、おそらく1000万円を超える金額を貯めることができるでしょう。 病気になった時の治療費は公的保険でまかなえるのですから、そのお金は入院した時の個室代に使えばいいし、幸いにして病気にならなければ、そのお金を、定年後に夫婦で旅行に出かけたり、遊びに来た孫に好きなものを買ってあげたりといった、人生における多くの楽しみに使うべきではないかと私は考えます。 ———- 大江 英樹(おおえ・ひでき) 経済コラムニスト 大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。 ———-

住宅ローンは55歳までに完済しないといけない!?

住宅ローンは何歳くらいまでに完済すべき? 「ちょっと背伸びして満足のいく家を買い、35年ローンを組んで、定年までに終わらない分は退職金で返す」と漠然と考えている人も多いと思いますが、それだと老後の生活にツケが回りかねません。 未来の自分に余力を残すためにも、住宅ローンはゆとりを持って組んで、55歳くらいまでに返し終えることを目指してはいかがでしょう。 夢が一転、足かせにもなりかねない「住宅ローン」 以前、書籍「住宅ローンは55歳までに返しなさい!」(アニモ出版)を出させていただきましたが、その中で言いたかったことは次の点です。 ・人生何があるかわからないので、住宅ローンは55歳までに返せるくらいの余力を持って組むと安心度が上がります ・40代、50代にピークがくる教育費。余力を残して住宅ローンを組んでいれば、教育資金の準備も無理なくできてピークも乗り越えられるはず ・50代になると親の介護や自分や家族の病気等で想定外に離職・転職し、収入が減少するリスクも。収入減が5年続く事態になっても乗り切れますか? ・離婚も3組に1組という時代。負担の大きい住宅ローンは人生の選択肢を奪うこともあります ・住宅ローンを55歳くらいまでに完済すれば、退職金を老後資金としてキープできるだけでなく、長い老後資金の準備をする時間も確保できます 一時期、「老後破綻」や「下流老人」などと騒がれましたが、家計診断や相談業務などで多くの家計を見てきて、老後までずっと自分らしい人生を送るためにはどうしたらいいのかを考えて出した答えの1つです。 昔ほどではないものの、持ち家神話が今も根強く、家庭によっては住宅取得が優先順位の高い「夢」に挙げられることも少なくありません。しかし、「夢」である住宅を取得することだけに頭がいきすぎて、家計としてのバランスを欠くような、無理のある住宅ローンを組んでしまうケースもあります。 「身の丈」に合わない住宅ローンを組んだ瞬間から、夢だったはずの「家」が人生の足かせになってしまうこともあるのです。悪くすれば、子どもの進路や、「のんびり趣味に生きる」などとイメージしていた老後生活が根本的に狂ってしまう可能性も。 ましてやこれからは「人生100年時代」。仕事を辞めて“隠居”する時期を何歳に設定するかにもよりますが、老後資金を今より4割増で備えないといけない時代に突入しています。 老後にツケを回さない! 人生の3大支出を考える しかも、これからの時代、この「身の丈」をもうひと回り抑える必要性があります。その最大の理由として挙げられるのが、教育や老後(介護含む)にお金がかかることです。 住宅費、子どもの教育費、老後の生活費は「人生の3大支出」といわれます。 収入が頭打ちになる中、少子化で親の介護も健在リスクとなっています。年金は3割削減しないと制度が持たないともいわれ、社会の超高齢化が進み、医療も介護も受益者自身の負担増かサービスの縮小は避けられません。 ましてや、これからは「人生100年」を前提に生きる時代です。そんな中で、住宅にお金をかけすぎるとどうなるでしょう? 容易に想像できるように、ツケは老後に回ります。あるいはその前に子どもの進路にも影響してくるかもしれません。 「長い長い老後にツケを回さず、子どもの養育・教育資金とのバランスもとれるような住宅取得の目安」をわかりやすくした言葉が、「住宅ローンは55歳までに返せるくらいのものを組みましょう」なのです。 55歳を目安に、返し終わる規模の住宅ローンを 誤解がないように書いておきますが、「住宅ローンは55歳までに返しましょう」といっている年齢は、あくまでも目安です。53歳でも57歳でも問題はありません。60歳でもいいのです。ただし、退職金がある人は老後資金として温存し、退職金がない人はペースを上げて老後資金を準備する時間を確保しましょう。 中には「それだと十分な住宅ローンが組めない。家が買えない」という人もいるでしょう。その場合、今の想定よりもひと回り小さい家を探す、新築でなくて中古にするなど、いくつかの方法を検討していくことになります。 「みんな買っているから大丈夫!」と無理をして買うと、未来の可能性を狭めることになるかもしれません。ひと回り小さい家や中古では満足できないのであれば、世帯収入を上げたり、節約をしたり、運用力をつけたりして、繰上返済などで55歳までに返せる状況をつくるのも手です。 また、50代や60代で家を買う人はどうしたらいいでしょう? それは簡単なことです。現金で買う、あるいは子どもと親子ペアローンを組むなどの方法があります。この時も、老後資金を残すことを忘れないことです。 住まいで投資も兼ねる場合は例外もあるが ただし、資産形成につながる住宅取得を考える場合は例外もありえます。 購入した住宅の資産価値が上がるか、少なくとも下がらないのであれば、住宅取得をすること自体が老後資金形成の柱になっている場合もあります。しかし、「資産価値が高い」とされる住宅はどうしても高額になりがちです。そもそも、「価格が絶対に下がらない」「確実に上がる」などと言える物件はあり得ません。 「住宅で不動産投資も兼ねる」タイプの人は、当たればいいですが、外した時は厳しい状況になります。資産形成は分散投資を基本に考えた方が無難でしょう。 人生100年時代。老後も自分らしく生きるために つまるところ、「背伸びして満足できる家を買い、35年ローンを組んで、定年までに終わらない分は退職金で返す」という考えはいったん横へ置くべきだと思います。老後までの持続可能な家計を維持したいなら、そんな発想は捨てた方がいいのかもしれません。 最初に小さめの家を買い、経済的余力があれば、家計の状況を見ながら住み替えをしてグレードアップしていくことも可能です。 不確実な時代だからこそ、できるだけ身軽に人生を送れるようにしたいもの。また、見えない足かせを自分にはめてしまわないことが大事ですね。 文:豊田 眞弓(FP、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー) FPラウンジ代表。保険や学費、奨学金などに詳しく、家計全般の相談を受けている。講演や記事の監修、コラム執筆などでも活躍。大学・短大で非常勤講師として学生にマネー教育を行っている。

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