Friday, December 8, 2023

「見たことない虫だ!」実は準絶滅危惧種 園児発見、専門家も太鼓判 宇都宮の中村夏樹ちゃん

 【宇都宮】鶴田町、幼稚園年長中村夏樹(なかむらなつき)ちゃん(5)がこのほど、市内の雑木林で県版レッドリストに準絶滅危惧種として掲載されている昆虫「アカマダラハナムグリ」を見つけた。アニメよりも昆虫と植物が好きという夏樹ちゃん。父の和弘(かずひろ)さん(52)は「都会のタワーマンションに住んでいたら、興味を示さなかったかもしれない」と想像し、夏樹ちゃんの知的好奇心と鋭い観察眼を育んだ市内の自然環境に感謝している。  アカマダラハナムグリはコガネムシ科の甲虫。体長2センチほどの小さな虫で、県内では平野部から丘陵部を中心に生息している。夏樹ちゃんは今月3日、市と鹿沼市境の雑木林でこの虫を発見した。連日のように両親と通う虫捕りポイントで「クヌギの樹皮が剥がれて樹液が出ている所にいた。見たことのない虫だった」と興奮気味に振り返る。赤茶色の背中に黒い斑点を持ったその虫は、和弘さんが写真を撮ってリリース。インターネットで調べると、アカマダラハナムグリらしいことが分かった。  県立博物館で昆虫を担当する栗原隆(くりはらたかし)学芸員(46)は「間違いない。なかなか見つからない虫」と太鼓判を押し、「たくさんは見つけられないが、よく観察すれば見つかる可能性が高い」と説明する。オオタカなど鳥類との関わりが深い虫で、自然保護の意識の高まりもあって昔よりも増えている印象という。  「最初に話した言葉が『はっぱ』だった」。母の麻有子(まゆこ)さん(43)は、夏樹ちゃんが1歳の頃のことをよく覚えている。植物に興味を持ち、和弘さんが虫捕りに連れていくと昆虫に夢中になった。将来の夢は、市内を研究フィールドにする昆虫と植物の博士。「宇都宮の森を増やしたい。森を壊す人がいたら、こらーって怒ってやる」と夏樹ちゃん。きょうも、市内の野山を無邪気に駆け巡っている。

哲学的で芸術性高く 「世界のハマグチ」三大映画祭で主要賞受賞

ベネチア国際映画祭で「悪は存在しない」が審査員大賞(銀獅子賞)を受賞した濱口竜介監督は、2021年に「偶然と想像」がベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)、「ドライブ・マイ・カー」がカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞しており、世界三大映画祭で主要賞受賞という栄誉を手にした。世界に誇る日本人監督としての地位を不動のものにしたと言っても過言ではないだろう。 濱口監督はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に「ドライブ・マイ・カー」が選ばれた際、記者会見で「インディペンデントな形で映画作りを続けてきた自分にとって、国際映画祭は心のよりどころ。自分を発見し育ててくれた」と感謝の言葉を述べている。 濱口監督作品は、商業的に大成功を収めるというよりは、哲学的で芸術性が高いのが特徴。ほとんどの作品で脚本も監督自身が手掛けており、「偶然と想像」も会話劇が中心で、そのせりふ回しの巧みさがさえていた。撮影前に出演者が台本を読む「本読み」では、ひたすら無感情で読ませることも演出方法として独特だ。抑揚がないため棒読みしているようにも聞こえるが、逆に演者の解釈が入り込まない分、せりふに込めた作り手の意図に思いをはせることになる。 「悪は存在しない」には、レジャー施設の開発を計画する側の人間と、自然豊かな村に暮らす人々が登場する。一見すると自然破壊、環境問題がテーマの作品のようにもみえるが、濱口監督は「自然保護を訴える作品ではない」という。 もともと同作品は、「ドライブ・マイ・カー」の音楽を担当した石橋英子さんが、自身のライブパフォーマンスで流す映像の制作を濱口監督に依頼したのがきっかけで誕生した。作品中、木々を見上げるカメラアングルで森林の中を延々と移動する場面には、美しい音楽が流れている。 ベネチア国際映画祭の現地で開かれた記者会見で、濱口監督は「自分は全ては視覚的に考えるところから始め、それに今回の石橋さんとの調和を意識し、その間に自然がある」と説明。 「その自然に人間を置くと必然的に環境問題という言葉が出てくるが、それは大きな問題というより日常的な問題で、その解決には対話が必要だが、しかし今の社会は対話を尊重しておらず、それを映画にした」と語っていた。

世界の夏の平均気温が過去最高に 国連総長「気候崩壊が始まった」

 世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は6日、今年6~8月の世界の平均気温が観測史上最も高くなったと発表した。国連のグテーレス事務総長は「気候崩壊が始まった」と危機感を示し、各国の指導者らに温暖化対策の加速を強く促している。 カナダのバンクーバーで2023年8月16日、街頭に設けられた施設でミストを浴びて熱波をしのぐ男性=AP  C3Sの分析によると、6~8月の世界の平均気温は16・77度で、平年を0・66度上回った。月別では今年7月の平均気温が16・95度で、観測史上最高を記録。8月は16・82度で、7月に次いで史上2番目に暑くなった。  海面水温も過去に例のない高さが続いており、8月の平均水温は20・98度で、平年を0・55度上回り、過去最高になった。南極の海氷の面積はこの時期としては記録的に小さくなっており、平年を12%下回っているという。  グテーレス氏は6日に発表した声明で、「私たちの気候は、地球のあらゆる場所で起きている異常気象に私たちが対応できる速度を超えて、崩壊しつつある。まだ気候変動による最悪の混乱を避けることはできる。ただし、一刻の猶予もない」と訴えた。

この暑さ、いつまで続く?注意点は? 猛暑日、各地で過去最多を更新

 立秋を過ぎても暑い日が続き、札幌市では23、24の両日に最高気温が35度以上の猛暑日を記録した。気象庁によると、全国の主な観測地点153カ所のうち2割近い28カ所でこの夏、猛暑日の日数が年間の過去最多に並んだり更新したりしている。この暑さはいつまで続くのか。  各地で観測される猛暑日。東京都心では24日までに21日を数え、これまで最多だった2022年の年間16日を既に上回っている。鳥取市では30日を数え、2010年の過去最多に並んだ。京都市と埼玉県熊谷市では最多更新には至っていないものの33日を数えた。  こんなに暑いのは、地球温暖化に加え、南米ペルー沖の海面水温が上がる「エルニーニョ現象」などの影響が日本にも及んでいるためだ。  気象庁は9、10月もこの影響は残るとみていて、引き続き全国的に高温になるとの予報を発表している。楳田(うめだ)貴郁・異常気象情報センター所長は「9月は例年に比べて猛暑日の日数が増える可能性が高い。10月も猛暑日とはならずとも最高気温が30度程度と高くなる日が続く可能性があり、熱中症の注意が必要だ」と話す。  総務省消防庁によると、5月1日~8月20日の熱中症による救急搬送者数(速報値)は全国で7万410人に上り、例年よりも多くなっている。消防庁は「のどが渇かなくても小まめな水分補給をするなどしてほしい」と呼びかけている。【山口智】

処理水海洋放出 中国外務省が即座に抗議の談話 規制強化を示唆

 東京電力が福島第一原発の処理水の海洋放出を始めたことを受け、中国外務省は24日、「断固たる反対と強烈な批判」を示す報道官談話を発表した。 【写真】日本食離れの懸念は  談話は「日本政府は海洋放出の合法性、浄化装置の長期的な信頼性、核汚染水に関するデータの正確性などを証明しておらず、利害関係者との十分な協議もしていない」などとし、「国際的な公共利益を無視した極めて自分勝手で無責任な行為だ」と批判した。  その上で、「中国政府は食品の安全と、中国人民の健康を守るために必要なあらゆる措置を講じる」として、日本産食品などに対する新たな規制強化に踏み切る構えを改めて示唆した。(北京=林望)

中国が日本産水産物の輸入を全面停止 処理水放出への対抗措置

【北京=三塚聖平】中国税関総署は24日、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出が始まったことを受け、同日から日本産水産物の輸入を全面的に停止すると発表した。放出開始を受けた対抗措置で、習近平政権は対日圧力を強化している。日中関係のさらなる冷え込みは必至だ。 税関総署は輸入停止措置について、処理水の放出が「食品安全に引き起こす放射性汚染リスク」を防ぐためだと主張。「中国の消費者の健康を保護し、輸入食品の安全を確保する」と説明している。 中国は放出が始まる前から日本産水産物などに対する事実上の輸入規制を敷いて対日圧力を増していたが、それを強化することになる。 中国外務省は24日に発表した報道官談話で、海洋放出の開始に対して「断固とした反対と強い非難」を表明した。日本側に抗議を行ったことを明らかにし、対抗措置をとることも示唆した。 談話は、処理水を「核汚染水」と呼び、「処理は重大な核セキュリティーの問題で国境をまたいだ影響があり、決して日本だけの問題ではない」と批判。「日本は自らの私益から、現地住民や世界の人々に二次的な被害を与えるべきでない」と主張した。 また、日本に対し「国際的な被告席に自らを置き、長期にわたって国際社会の非難を受けることになる」と一方的な非難を展開した。国際原子力機関(IAEA)が処理水の放出計画を「国際的な安全基準に合致する」と結論付けた包括報告書を出したことなどについては触れていない。

パリ五輪会場のセーヌ川、水質に不安 「花の都」が抱える問題とは

 来年7~8月のパリ・オリンピック、パラリンピック開幕まであと1年となる中、水泳競技の会場となるセーヌ川の水質が不安視されている。下水の流入などで汚染されているためで、パリ市などが急ピッチで対策を進めている。「花の都」のあまり美しくない問題を探った。  パリ五輪では、トライアスロンの水泳競技などがセーヌ川で開催される予定だ。セーヌ川は水質悪化で1923年に水浴が禁止されたが、90年以降は環境規制などで状況が徐々に改善。パリ市は「泳げるセーヌ川」の実現を、五輪招致時のアピールポイントにした経緯がある。  長年、セーヌ川の水質悪化の原因となっているのが、雨天など増水時における下水の流入だ。パリ五輪テスト大会を兼ね、8月6日に予定されていたオープンウオーター(OWS)のワールドカップ(W杯)は、大雨による水質悪化で中止となった。  パリ市では雨水と下水が同じ下水管を通って処理場に流れる。雨量が多い時には、下水管があふれるのを防ぐため、汚水を直接セーヌ川に放出する。水位が低下したところに、集中豪雨などで汚水が一気に流れ込む夏は、セーヌ川が最も汚れる季節とされる。OWSの中止は来夏の五輪に不安を与えるが、パリ五輪組織委員会の担当者は「改善計画は進行中で、本番での運営には自信がある」とコメントしている。  パリ市などは現在、セーヌ川への下水の流入を減らすため、競技用プール16~18個分に相当する5万立方メートル級の地下貯水場を建設している。約9000万ユーロ(約142億円)をつぎ込み、来年春に完成予定だ。  また、上流にある下水道が未整備の地域も深刻な汚染源とみられている。仏レゼコー紙によると、約2万3000世帯分の下水道が処理場と正しく接続されておらず、汚水がセーヌ川に排出されている。地元自治体が約14億ユーロをかけて下水道の整備を進めているが、巨額の費用が批判の対象となっている。  パリには下水処理で苦闘してきた歴史がある。18世紀にはトイレの未整備や地上の下水溝が放つ悪臭が問題となり、19世紀になって地下下水網が張り巡らされた。セーヌ川は70年代に工場排水などで汚染が最も進んだ。その当時は3種類の魚しか確認されなかったが、環境規制で現在は30種類以上に回復した。だが、増水時には下水の流入のほか、川底に長年堆積(たいせき)した汚物が巻き上がり、水質悪化の原因となっている。  パリ市は五輪終了後の2025年には市民や観光客が水浴を楽しめるようにする計画だが、安全上の理由から、ブイなどで仕切った3カ所の水浴場に限定する予定だ。【パリ宮川裕章】

岸田首相が福島原発のALPS視察…処理水放出巡り、あすにも全漁連会長と面会意向

 岸田首相は20日午後、東京電力福島第一原子力発電所(福島県)の処理水の海洋放出を巡り、21日にも全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長と面会する意向を明らかにした。視察先の同原発で記者団に語った。  放出開始日については、「安全性の確保や風評対策の取り組みの状況を政府全体で確認し、判断する。今の時点で具体的な時期を申し上げることは控える」と述べた。  これに先立ち、首相は同原発で、汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPS=アルプス)などを視察し、東電の幹部らと面会した。

国立感染研でチフス菌扱う研究者、腸チフス発症し入院…保健所が感染経路を調査

 国立感染症研究所は18日、戸山庁舎(東京都新宿区)でチフス菌を扱っていた研究者が腸チフスを発症したと発表した。  発表によると、この研究者は11日に発熱や腹痛を訴え、医療機関を受診し入院。15日に腸チフスと診断された。研究者が使ったとみられる実験室やトイレなどは消毒し、周囲で新たな感染者は確認されていないという。保健所が感染経路を調査している。  腸チフスは、感染症法で「3類感染症」に位置づけられている。通常は、チフス菌に汚染された水や食べ物を飲食して感染する。39度を超える高熱や下痢、発疹などの症状が表れ、重症化すると意識障害を起こすこともある。治療には抗菌薬を用いる。国内では近年、年間数十人程度の感染が報告されている。

園遊会、4年半ぶり開催 令和初 天皇・皇后両陛下が国枝さんらと歓談

 天皇、皇后両陛下主催の園遊会が11日、赤坂御苑(東京都港区)で開かれた。春と秋の年2回行われてきたが、天皇の代替わり行事や新型コロナウイルス感染拡大の影響で2018年秋を最後に実施されておらず、開催は4年半ぶりで令和初。雨の中、両陛下や皇族方は約1000人の招待者の間を傘を差して歩き、和やかに歓談された。  天皇陛下は、車いすテニスの第一人者で国民栄誉賞を受賞した国枝慎吾さんに「車いすテニスとパラスポーツの発展に大変なご尽力をなさって」と言葉をかけ、プレー中の体の使い方を質問するなどした。皇后雅子さまは、国枝さんが東京パラリンピックの男子シングルスで金メダルを獲得したことに「本当に素晴らしいご活躍で」とねぎらった。  旭化成名誉フェローの吉野彰さんは19年にノーベル化学賞を受賞したことを報告。天皇陛下は吉野さんが開発したリチウムイオン電池について「本当に素晴らしいものですね」とたたえ、吉野さんが環境問題に貢献したいと意気込むと「温暖化の問題も深刻ですからね」と応じていた。  宮内庁によると、今回は招待者を例年の半数程度に減らし、食事やアルコールを含む飲料の提供も見合わせた。両陛下や皇族方はマスクを着用し、招待者にも着用への協力を求めた。【村上尊一】

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