Friday, December 8, 2023

パリ五輪会場のセーヌ川、水質に不安 「花の都」が抱える問題とは

 来年7~8月のパリ・オリンピック、パラリンピック開幕まであと1年となる中、水泳競技の会場となるセーヌ川の水質が不安視されている。下水の流入などで汚染されているためで、パリ市などが急ピッチで対策を進めている。「花の都」のあまり美しくない問題を探った。  パリ五輪では、トライアスロンの水泳競技などがセーヌ川で開催される予定だ。セーヌ川は水質悪化で1923年に水浴が禁止されたが、90年以降は環境規制などで状況が徐々に改善。パリ市は「泳げるセーヌ川」の実現を、五輪招致時のアピールポイントにした経緯がある。  長年、セーヌ川の水質悪化の原因となっているのが、雨天など増水時における下水の流入だ。パリ五輪テスト大会を兼ね、8月6日に予定されていたオープンウオーター(OWS)のワールドカップ(W杯)は、大雨による水質悪化で中止となった。  パリ市では雨水と下水が同じ下水管を通って処理場に流れる。雨量が多い時には、下水管があふれるのを防ぐため、汚水を直接セーヌ川に放出する。水位が低下したところに、集中豪雨などで汚水が一気に流れ込む夏は、セーヌ川が最も汚れる季節とされる。OWSの中止は来夏の五輪に不安を与えるが、パリ五輪組織委員会の担当者は「改善計画は進行中で、本番での運営には自信がある」とコメントしている。  パリ市などは現在、セーヌ川への下水の流入を減らすため、競技用プール16~18個分に相当する5万立方メートル級の地下貯水場を建設している。約9000万ユーロ(約142億円)をつぎ込み、来年春に完成予定だ。  また、上流にある下水道が未整備の地域も深刻な汚染源とみられている。仏レゼコー紙によると、約2万3000世帯分の下水道が処理場と正しく接続されておらず、汚水がセーヌ川に排出されている。地元自治体が約14億ユーロをかけて下水道の整備を進めているが、巨額の費用が批判の対象となっている。  パリには下水処理で苦闘してきた歴史がある。18世紀にはトイレの未整備や地上の下水溝が放つ悪臭が問題となり、19世紀になって地下下水網が張り巡らされた。セーヌ川は70年代に工場排水などで汚染が最も進んだ。その当時は3種類の魚しか確認されなかったが、環境規制で現在は30種類以上に回復した。だが、増水時には下水の流入のほか、川底に長年堆積(たいせき)した汚物が巻き上がり、水質悪化の原因となっている。  パリ市は五輪終了後の2025年には市民や観光客が水浴を楽しめるようにする計画だが、安全上の理由から、ブイなどで仕切った3カ所の水浴場に限定する予定だ。【パリ宮川裕章】

園遊会、4年半ぶり開催 令和初 天皇・皇后両陛下が国枝さんらと歓談

 天皇、皇后両陛下主催の園遊会が11日、赤坂御苑(東京都港区)で開かれた。春と秋の年2回行われてきたが、天皇の代替わり行事や新型コロナウイルス感染拡大の影響で2018年秋を最後に実施されておらず、開催は4年半ぶりで令和初。雨の中、両陛下や皇族方は約1000人の招待者の間を傘を差して歩き、和やかに歓談された。  天皇陛下は、車いすテニスの第一人者で国民栄誉賞を受賞した国枝慎吾さんに「車いすテニスとパラスポーツの発展に大変なご尽力をなさって」と言葉をかけ、プレー中の体の使い方を質問するなどした。皇后雅子さまは、国枝さんが東京パラリンピックの男子シングルスで金メダルを獲得したことに「本当に素晴らしいご活躍で」とねぎらった。  旭化成名誉フェローの吉野彰さんは19年にノーベル化学賞を受賞したことを報告。天皇陛下は吉野さんが開発したリチウムイオン電池について「本当に素晴らしいものですね」とたたえ、吉野さんが環境問題に貢献したいと意気込むと「温暖化の問題も深刻ですからね」と応じていた。  宮内庁によると、今回は招待者を例年の半数程度に減らし、食事やアルコールを含む飲料の提供も見合わせた。両陛下や皇族方はマスクを着用し、招待者にも着用への協力を求めた。【村上尊一】

五輪談合認定なら、都が過払い公費の返還請求へ…小池知事「清算法人に働きかける」

 東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件を巡り、東京都の小池百合子知事は21日、談合が認定された場合、業務を発注した大会組織委員会の清算法人に対し、談合の結果として都が過大に支払った公費の返還を求めることを明らかにした。  都議会で東村邦浩都議(公明党)の代表質問に答弁した。談合が疑われている委託業務26件のうち、都は5件(落札金額計約1億7000万円)について約1300万円を拠出している。  都によると、談合の認定は、公正取引委員会の排除措置命令の確定などを想定している。小池知事は「清算法人に、損害賠償請求を(談合企業に)行うよう強く働きかけていく。その上で清算法人に公費の返還を求めていく」と答えた。  談合事件に絡む公費の返還について、国も、永岡文部科学相が同様の方針を明らかにしている。

舛添要一さん、東京五輪関連の逮捕者続出に「私が都知事のままだったら、この不祥事は防げたか」と自問

 前東京都知事で国際政治学者の舛添要一さんが11日、自身のツイッターを更新。東京五輪・パラリンピック関連の汚職事件でで組織委員会や電通などの幹部が東京地検特捜部に相次いで逮捕されていることについて憂い、都知事として職務を続けていた場合に不祥事を防げたかどうか自問した。  「東京五輪に関連して、贈収賄汚職に続いて入札談合容疑で東京地検特捜部は、組織委や電通などの幹部を逮捕した。大会の準備に苦労した立場からは残念だ」とつづり、「『「私が都知事のままだったら、この不祥事は防げたか』、そう自問しながら問題の本質を探ってみる」と続けた。  舛添さんは2014年2月から16年6月まで都知事を務めた。前任の猪瀬直樹氏の時代に五輪の招致を実現した。

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