迷い魚?商店街の川に鮎の群れ、漁協「街中での確認異例」住民、水質改善を実感 岐阜・土岐市
岐阜県土岐市のJR土岐市駅の駅前商店街を流れる伊野川(土岐川の支川)に鮎の群れが現れ、話題となっている。土岐川漁業協同組合によると街中での確認は異例という。15日もキラキラと身を翻してこけを食(は)む様子が観察できた。近隣住民は「こんな街中で鮎が見られるなんて」と喜んでいる。 15日午前には、川幅1・5~2メートルほどの澄んだ流れの中、体長10~15センチの個体が、幾つかの群れをなして泳いでいた。 伊野川の鮎の情報は漁協に今月寄せられ、役員らが現地で100匹以上を確認した。漁協は6月に瑞浪市釜戸町の土岐川で2回、計400キロの稚鮎を放流したが、伊野川の鮎は大きさから別ものだという。 漁協は鮎が別の土岐川支川にある小里川ダム湖(瑞浪市・恵那市)で繁殖しており、水位調節の放流の際、一部が流れ出ると推測。それが土岐川を下り、途中で伊野川を上ったとみる。 土岐川の生物を調査する多治見市土岐川観察館によると、鮎は大水の際、水の濁りを嫌って川を下り、澄むと遡上(そじょう)する習性がある。山本真行館長は「土岐川を上る際、支川に迷い込んだ可能性がある」と話す。 伊野川の近くに住む70代男性によると、同川ではホタルが繁殖し、カワセミも飛来。下水道が整備されて生活排水の流入が減り、川の水は年々きれいになっているという。「街中に鮎がいるのは驚きで、うれしい。取ったりせず、静かに眺めてほしい」と語った。 鮎は産卵のため土岐川へと下る可能性があり、漁協は伊野川にいるのは月末ごろまでと推測する。水野利之組合長(76)は「鮎の姿を見て楽しんでほしい。川に関心を持ってもらえたら」と願った。