Friday, December 8, 2023

これを聞かれると誰もがひと言話したくなる…田村淳が初対面の人に投げかける必ず盛り上がる”絶妙な質問”

毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか。読書家が集まる本の要約サービス「flier(フライヤー)」で、11月にアクセス数の多かったベスト20冊を、同サービスの編集部が紹介する――。 要約サービス「11月のビジネス書」ベスト20 第1位:『人生をガラリと変える「帰宅後ルーティン」』(リュ・ハンビン著、小笠原藤子訳、文響社) 第2位:『これからの生き方図鑑』(樺沢紫苑著、光文社) 第3位:『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』(キム・ユジン著、小笠原藤子訳、文響社) 第4位:『超コミュ力』(田村淳著、すばる舎) 第5位:『話し方すべて』(桐生稔著、かんき出版) 第6位:『堀江貴文のChatGPT大全』(堀江貴文/荒木賢二郎著、幻冬舎) 第7位:『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』(安達裕哉著、日本実業出版社) 第8位:『ちょっとお疲れのあなたが読むだけでフワッと癒やされる本』(樺沢紫苑著、マイナビ出版) 第9位:『感情的にならない本』(和田秀樹著、PHP研究所) 第10位:『1300万件のクチコミでわかった超優良企業』(大澤陽樹著、東洋経済新報社) 第11位:『メタ思考』(澤円著、大和書房) 第12位:『頭のいい人は「短く」伝える』(樋口裕一著、大和書房) 第13位:『2035 10年後のニッポン』(堀江貴文著、徳間書店) 第14位:『熟睡者』(クリスティアン・ベネディクト/ミンナ・トゥーンベリエル著、鈴木ファストアーベント理恵訳、サンマーク出版) 第15位:『心をつかむ超言葉術』(阿部広太郎著、ダイヤモンド社) 第16位:『アウトプット思考』(内田和成著、PHP研究所) 第17位:『小さな感謝』(鹿島しのぶ著、三笠書房) 第18位:『おとなの思考』(外山滋比古著、リベラル社) 第19位:『2040年の日本』(野口悠紀雄著、幻冬舎) 第20位:『うまくいくリーダーだけが知っていること』(嶋村吉洋著、きずな出版) ※本の要約サービス「flier」の有料会員を対象にした、2023年11月の閲覧数ランキング 「帰宅後ルーティン」でつまらない人生を変える 今月の第1位は、『人生をガラリと変える「帰宅後ルーティン」』でした。 「毎日がなんだかつまらない」「自分にはもっと別の人生があるかもしれないと思ってしまう」……そんなふうにモヤモヤしている方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。 本書の著者、リュ・ハンビン氏は、時間管理や副業に関する情報発信を専門とする韓国のインフルエンサー。本業は獣医師で、かつては仕事中心の生活でしたが、毎日の「帰宅後ルーティン」を作ったことをきっかけに、やりたいことをすべて実現できるようになったのだといいます。 帰宅後ルーティンを作るために、まずは時間帯ごとの集中度を記録することから始めてみましょう。すると、どの時間帯に何をすれば効率よく動けるのかがわかってきます。著者の場合、朝に運動を、夜に動画編集や執筆作業を行うとはかどるタイプなので、その通りのルーティンを組んだそうです。 効率的な時間の使い方が見えてきたら、1週間分の帰宅後ルーティンを作ってみましょう。最初はうまくいかないかもしれませんが、その都度アレンジを加え、最適化していきます。 慣れていくと、時間割に従って生きることの快適さに気づくでしょう。平日の夜をより効率に使いたい方や、副業や趣味の時間を捻出したい方、毎日にハリがほしい方、新しいことを始めたい方に一読をおすすめします。 目標は「低く」設定したほうが、モチベーションが上がる 第2位は『これからの生き方図鑑』でした。 著者は『アウトプット大全』や『言語化の魔力』、『神・時間術』など、これまで数々のベストセラーを生み出してきた精神科医の樺沢紫苑氏。今作のテーマは「これからの生き方」です。お金や人間関係、仕事、健康、メンタルなど、さまざまなジャンルで、すぐに実践できる「新しい生き方」を教えてくれます。 そのうちの一つが、行動できる人になること。行動することで自己成長でき、現実が変化するとしたうえで、行動できる人になるコツを3つ提示しています。 1つ目は、目標を低く設定すること。少し努力すれば達成できそうな目標を選べば、モチベーションが上がります。 2つ目は、行動を細分化すること。やるべきことを細分化して、一つひとつをこなしていきましょう。小さな成功体験を積むことで、気分よく行動できるようになります。 3つ目は、ハードルを下げて最初の一歩を踏み出すこと。最初の一歩を踏み出すのは誰でもおっくうなもの。「毎朝15分間散歩をする」が難しいなら「午前中に5分の散歩か日向ぼっこを、週1回する」にトライしましょう。 図鑑形式で気軽に読める本書。ぱらぱらめくっているだけでも、前向きな気分になれて、「明日から試してみよう」と思えるはずです。 韓国で早起きブームを巻き起こした弁護士の教え 第3位には『朝イチの「ひとり時間」が人生を変える』がランクインしました。 「2024年こそ早起きの習慣をつけたい!」と意気込んでいる方には、本書を強くおすすめします。 著者は韓国で早起きブームを巻き起こした弁護士。学生時代から現在まで朝4時30分起床を実践し、米国の司法試験に合格しました。現在は弁護士として活躍するかたわら、動画制作や本の執筆なども精力的に行い、YouTubeチャンネルの登録者数は20万人に達しています。 そんな著者は、明け方の時間を「自分がコントロールする時間」、それ以外の時間を「運命に任せる時間」と呼んでいます。仕事や家事・育児・介護などに追われる現代人が、自分だけの時間を確保するのは難しいもの。ですが、思いきって早起きすれば、誰にも邪魔されない、自分だけの時間を過ごせるのです。 著者が実践する明け方の過ごし方は4つ。先延ばしにしたことをする、体を動かす、読書をする、勉強する、です。あなたもこの4つの中に、ずっとやりたかったことがあるのではないでしょうか。 「早く起きれば自分の時間が持てる」とわかってはいても、特に冬の早起きには気合いが必要です。誰かに背中を押してほしいなら、本書を読んでみませんか。 田村淳が「コミュ力お化け」になった意外な方法 続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。第4位は、『超コミュ力』でした。 「コミュニケーション力の高い人」というと、どんな人をイメージしますか? 多くの人は、話がうまく、気の利いたことを言ってまわりを笑顔にする人を思い浮かべるのではないでしょうか。本書はまさにそんな人の一人、田村淳氏の著書です。 今日から使える田村流テクニックには、初対面の人と話すときに「あの、うまい棒、何味が好きですか?」と聞くことがあります。うまい棒は全世代に通じるネタである上、誰も傷つけることなく、会話を盛り上げることができます。 また「やりたいこと」を聞いてみるのもおすすめです。この質問によって相手の興味・関心を把握でき、その後の会話に生かせるためです。 誰もが認める「コミュ力お化け」の田村氏ですが、実は地元・下関から上京してきたころ、「自分の下関弁が通じるのか」「周りから田舎者とバカにされているのではないか」と委縮し、人に話しかけるのが怖くなっていた時期があったそうです。 そこで田村氏がとった行動はなんと、渋谷の真ん中で、道行く人に「渋谷駅はどこですか?」と尋ねるというものでした。これを積み重ねることで自信がつき、コミュ力が高まっていったといいます。 コミュニケーション力を磨きたいなら、本書の田村流テクニックを一つずつ試して、少しずつ自信をつけてみませんか? ChatGPTは「婚活サポーター」にもなる 第6位の『堀江貴文のChatGPT大全』にもご注目ください。 […]

税金が安くなる米EV優遇策、「中国抜き」が条件 日本メーカー悲鳴

 米政府は、北米でつくられた電気自動車(EV)を買った人への税制優遇について、中国などの企業が製造に関わった充電池や重要鉱物を使った車種を対象から外すと発表した。ただ、そうした分野で大きなシェアを占める中国に頼らずEVをつくるのは容易ではない。税制優遇を前提に米国での投資を計画してきた日本の自動車大手も、戦略の見直しを迫られそうだ。  税制優遇はEVの普及をめざすバイデン政権の目玉政策で、EV購入者が払う税金を最大7500ドル(約110万円)減らす。最終組み立てを北米の工場で行うなどの条件を満たす車が対象で、今年から始まった。

寒暖差が激しい日にはこれ。薄くて小さいのに暖かい、持ち運びに便利なTHE NORTH FACEのネックゲイター

肌寒くなってくると首元をカバーする防寒具が欠かせない。だが、マフラー類は外すことも多く、持ち運ぶ際にかさばるのがネックだ。 そこで、最近手に入れたのがTHE NORTH FACEの「マイクロストレッチネックゲイター NN71800」。驚くほど薄いのに、暖かい。 「マイクロストレッチネックゲイター NN71800」おすすめポイント ・薄くて小さいから持ち運びに便利 ・立体性を保つデザインになっている ・ 顔にも頭にも使える たたむとスマホよりコンパクトに この「マイクロストレッチネックゲイター NN71800」は、特殊セラミックの働きで体が発する遠赤外線のエネルギーを利用し、体の芯まで温める光電子というハイテク繊維をミックスしたサーモライト素材を使っている。 とても薄く、たたむとiPhone XSよりも小さくなる。小さいカバンやポケットに忍ばせておくことも可能だ。 立体的な形を保つデザイン 薄くて柔らかいと形状が崩れやすいが、「マイクロストレッチネックゲイター NN71800」はストレッチ性の高い素材でありながら立体的な形を保つようにデザインされているために、服装によってはしっかりと首をカバーしてくれる。 筆者が使ってみたところ、首周りがスッキリしたファッションだと鎖骨のあたりにもたつくが、例えば、こんなダウンジャケットだったり、シャツのえりで支える型にするのならアゴまでカバーすることもある。 顔にも頭にも使える ストレッチ性が高いため、首だけでなく、顔半分をおおったり、ヘアバンドのように頭に被って耳を隠すこともできる。急な寒さに対応できる汎用性の高さが好ましい。 寒さが厳しさを増せば、「マイクロストレッチネックゲイター NN71800」とマフラーの2枚重ねにするのもいいだろう。 ポケッタブルサイズなので、今の寒暖差が激しい季節の持ち運びにとても便利だ。 「マイクロストレッチネックゲイター NN71800」おすすめポイント ・薄くて小さいから持ち運びに便利 ・立体性を保つデザインになっている ・ 顔にも頭にも使える ※表示価格は執筆時のもの。変更や売り切れの可能性もありますので、それぞれ販売ページでご確認ください 商品のデザインや仕様、パッケージなどは執筆当時のものです。変更されている場合がございます。

効果99%の男性用経口避妊薬認可へ? コンドームに代わるか?

しかし、ミネソタ大学の研究者たちが、男性用に開発された新しい非ホルモン性避妊法の人体実験を開始した。 「科学者たちは何十年もの間、効果的な男性用経口避妊薬を開発しようと試みてきましたが、いまだに認可されたピルは市場に出回っていません。 このような副作用を避けるために、非ホルモン性の男性用避妊薬を開発したかったのです」 従来のホルモン性避妊薬には、エストロゲン、プロゲステロン、またはその両方が含まれている。これらのホルモンは、排卵を止め、子宮頸管粘液を変化させて精子を受け入れにくくし、子宮内膜を薄くして受精卵が着床するのを防ぐという働きをする。 反対に、男性用の新しい非ホルモン性避妊ピルの働きはまったく異なる。テストステロンレベルに影響を与えるのではなく、タンパク質が哺乳類の生殖に不可欠なビタミンAと結合するのを阻止するのである。 今のところ、マウスを使った研究しか行われていないが、その結果は驚くほど良好であったとされている。4週間の経口投与で、マウスの精子数は劇的に減少した。ピルを投与し、マウスの妊娠を99%防ぐことができた。加えて、マウスは薬をやめてから4〜6週間後には通常の精力レベルに戻り、明らかな副作用は観察されなかった。 このような結果が出ているとはいえ、多くの専門家が依然として躊躇していることは注目するべきだ。 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、ヒトとマウスでは遺伝子の関係や生殖システムが異なるため、マウスの研究結果が必ずしもヒトに当てはまるとは限らないという。 男性用避妊ピルについては何年も前から報告されているが、市場に出たものはない。 一方で、この全く新しい非ホルモン避妊薬はユニークで、あらゆる基準を満たしている。もし将来発売されれば、男性が生殖の決定をコントロールできるようになると考えられている。 (この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

「生きたゴキブリがグラコロ混入」をウソだと叩く人が知らない、最強生物Gの恐ろしさ

「グラコロ」にゴキブリ?投稿者にバッシング   先日、マクドナルドの冬の人気ハンバーガー「グラコロ」のバンズの間から生きたゴキブリが飛び出してきたとSNSで投稿をした人が、「正義の裁き」を受けた。 「マックでバイトして4年の経験から言わせてもらうと、油であげるグラコロに生きたゴキブリが入るわけねえだろ」「お前、絶対仕込んだやろ。法的措置取られるのも時間の問題やろな」などとネットやSNSで批判されたのだ。  事の発端は「グラコロ」が新発売された11月末に、テイッシュで潰したゴキブリの画像とともにこんな投稿(現在は削除)がされたことだった。 「1/4ぐらい食べた時に、中から小さなゴキブリが出てきて、まだ生きていて、逃げていきました。その後壁を走っているのを見つけ、その後ティッシュで殺しました」  これに反応をしたのが、ネットやSNSで悪を叩くことを生き甲斐とする人々だ。 「生きたゴキブリ」というわりに動画を撮っていないということは100%うそだと「クロ判定」をした。SNSで注目を集めたい愉快犯か、マクドナルド側から謝罪と無料券を頂戴するための恐喝犯に違いない、と投稿者をボロカスに吊し上げているというワケだ。  一方、マクドナルド側はメディアの取材に対して、このような申し出があったという事実は認めつつも、ゴキブリという現物を回収していないので詳細は答えられないとした。この客にお詫びをして無料券を渡したという。  つまり、当事者同士はすでに「手打ち」となっているが、悪を見逃さない正義の人々が「うそくせえ」「怪しい」という感じで、「私刑」を続けているという構造なのだ。  ただ、企業危機管理の仕事で異物混入を嫌というほど扱ってきた立場から言わせていただくと、「ゴキブリが生きたまま、ハンバーガーのバンズや野菜の中に紛れ込む」なんてことはちっともうそくさい話ではなく、むしろザラにある。  まず、ゴキブリという生物が、地球上で最強クラスに「しぶとい」という事実がある。そこにくわえて、外食業界では「生きたカエル」がカット野菜の中に紛れ込んで、うどんの中にまで入り込むという前例もあるくらいなのだ。  そう聞くと思い出す人も多いだろう。そう、丸亀製麺の「カエルうどん」騒動だ。 丸亀製麺でも大炎上、新鮮な食べ物には「異物」が入る  今年5月、丸亀製麺の新製品「シェイクうどん」が発売されて早々、器の中に生きたカエルがちょこんと座っている画像がSNSで拡散され大炎上、ワイドショーなどでも大騒ぎをする事態になったのはまだ記憶に新しいだろう。  実はこの時も、ネットで正義のお仕置きをすることをライフワークとする人たちが、投稿者を「自作自演」「恥を知れ」とボロカスに叩いた。この直前にも、イトーヨーカドーで販売されていたサラダにカエルが混入していたことが報道され、「おおかた今、カエルが入っていたとか騒げばバズると思って、その辺でカエルを捕まえてきて仕込んだだろ」と「クロ判定」されたのだ。  ただ、実は「カット野菜」には、生きたカエルが入り込むことは過去、定期的に発生している。日本だけではなく、アメリカなどでもずいぶん前から報告されている。  新鮮な野菜には虫やカエルがつくし、卵を生むのは当然だからだ。それらをすべて殺すよう消毒をすれば、虫やカエルは寄り付かないが、そんなものは人間も食べられない。もちろん、カット野菜の製造過程で、AIや目視で異物混入がないかはチェックするが、それもどうしても100%ではない。  そのあたりは、《丸亀製麺「カエル混入」で自作自演を疑う人が知らない、カット野菜のリスク》の中で詳しく解説しているので、ご興味のある方はお読みいただきたい。  さて、カエルでも簡単に紛れ込めるところに、カエルよりもさらに小さくて、カエルよりもすばしっこいゴキブリが紛れ込めないわけがない。  実際、多くの日本人が目を背けているだけで、食品調理や製造の世界では、ゴキブリ混入など日常茶飯事で起きている。 国内外で発生する「ゴキブリ混入」  例えば、今年2月、あるSNSユーザーが、マグドナルドのハンバーガーのエッグとハンバーグの間に、体長約9ミリの「チャバネゴキブリ」が見つかった写真を投稿。投稿者は現物をマック側に渡して保健所にも届け出た。マックから委託された外部検査機関はこう結論づけた。 《外部検査機関は、虫の死骸から酵素の反応がなくなっており、そうなるのに十分な熱の影響を受けている可能性が高いとも指摘した。このことから、「店舗調理のいずれかの工程で混入した可能性は否定できません」と明らかにした。その一方で、「明確な混入経路の特定には至りませんでした」とも報告した》(J-castニュース3月10日)  日本を代表するコンビニ・セブンーイレブンでも起きている。今年8月に「梅香る混ぜ飯おむすび 紀州南高梅」の中にゴキブリが入っている、という指摘が2組の客からあって、埼玉県内の約370店で販売された約2000食を自主回収した。  そう聞くと、「死骸ならば混入をすることだってある!生きたゴキブリが入るのがありえないと言っているのだ!」と今すぐ正義のリンチをしたくてウズウズしている人もいらっしゃるだろうが、生きた虫が混入することも定期的に報告されている。   今年6月、セブンーイレブンの「北海道グルメフェア」として販売した「蒸し鶏と半熟玉子のラーメンサラダ」の容器の中に、小さな虫が動いている映像がSNSで投稿されて、これも大きな話題になった。  また、2022年4月、SNSで話題になったのは牛丼の「すき家」で店員が持ってきた麦茶の入ったコップにゴキブリが浮いていたというものだ。こちらも投稿者は「うそつき」と叩かれたが、「すき家」は混入の事実を認めている。  ちなみに、このような「ゴキブリコップ」騒動は海の向こうに目を向ければもっとある。  今年4月、韓国メディア「聯合ニュース」が報じたところによれば、韓国の京畿道(キョンギド)のロッテリアに8歳の娘と訪れた女性は、セットメニューを注文した。そして、出てきたコーラを飲み干したところ、その底には氷の大きさほどの、生きたゴキブリがいたという。  また2022年、中国のSNSでの新浪微博(シンラン・ウェイボー)でも、スタバのコーヒーカップの中に、生きたゴキブリが混入している画像が拡散された。  もちろん、これらも「自作自演」「仕込み」「うそ」と叩く人がいる。確かに、広い世の中だ。いろんな人がいる。どこかで生きたゴキブリを捕まえて、わざとコップに紛れ込ませるようなイタズラをして、腹の中で大笑いをしている可能性もゼロではない。  ただ、先ほども申し上げたように、世界的に見れば、外食や食品製造に虫やカエルが混入することなど、ちっとも「ありえない話」ではないのも事実なのだ。外部検査機関が調べても混入経路がわからない虫やカエルの死骸がたくさん見つかっているという事実を踏まえれば、なにかしらの方法で厨房に侵入して、食材の中に身を潜めて、そこでうまく生きながらえてきたゴキブリやカエルがいたって、特に不思議でもなんでもない。 ゴキブリは「史上最強のしぶとさをもつ生物」  そこに加えて、筆者がこのように考えるのは、ゴキブリが「史上最強のしぶとさをもつ生物」だからだ。  よく言われることだが、ゴキブリは核戦争後の地球でも繁栄できるほど生命力が高いと言われる。もちろん、放射能に対して強いのは、ゴキブリだけではなく、すべての虫に当てはまる。しかし、何よりもゴキブリは、スリッパで叩いても死なず、逃げ回ったりするなど生命力が強く、食欲も旺盛だ。  NewsWeek日本版の「ゴキブリが核戦争をも生き延びる理由」(22年10月13日)の中には、オーストラリアのロード・ハウ島というところで、外来種であるネズミのせいで80年前に絶滅していたと思われていたゴキブリが、実はしぶとく生きていたことが最近になって発見されたという。  このようにゴキブリは徹底的に殺しても、いくら駆除しても、外敵の目を盗んで、どこかで必ずしぶとく生きながらえる「最強の生物」なのだ。  それはつまり、飲食店の厨房や食品工場が、定期的に害虫駆除をしたり、衛生管理を徹底したところで、必ずどこかに潜んでいるということだ。だから当然、ハンバーガーのバンズやサラダの間にも紛れ込む。人間がいくら目を光らせても、それを完全に防ぐことは困難だ。  料理に生きたカエルが入っていた。食品に生きたゴキブリを見た――。自分たちが毎日食べているものに対して、そんな気持ちの悪い話をする人を「うそだ」「自作自演だ」と叩きたくなる気持ちはよくわかる。ただ、野菜や肉など自然由来の原料を使って、人間が調理をしているわけだから、こういうヒューマンエラーはあって当然だ。むしろ、「ありえない」と考える方が不自然である。  日本では「安心・安全」を社会全体でうたいすぎてしまったせいで、強迫観念のように「無菌」「清潔」「ゼロリスク」を追い求めしまうきらいがある。  しかし、本来、人間の体など雑菌だらけだし、我々の身の回りに微生物やら菌やら虫があふれている。野菜や肉、魚にも菌や微生物は山ほどついているし、小さな虫など気づかないうちに一緒に口に入れている場合もある。  ネジだとか鉄片などの混入は被害もあるが、虫やらカエルの混入など、食中毒になるわけでもない。かつては、見つけてもピッとよけて、「すぐ作り直します」でよかったはずだ。 「虫が入っていた」とわざわざ写真に撮ってアップして騒ぐ方も、それに対して「うそ」「自作自演」と叩く方も、もっとおおらかな気持ちで、「異物混入」というものに接してみてはいかがだろうか。 (ノンフィクションライター 窪田順生)

電子レンジを使って5分で完成! 美味しいシナモンロールの作り方

※本記事は、2022年2月11日に公開した記事の再掲です。 TikTokやインスタグラムでさまざまなスイーツのレシピを公開しているエロイーズ・ヘッドさんには、少ない材料で手軽に作れるシナモンロールのレシピがある。 ギリシャヨーグルト、セルフライジング・フラワー(ベーキングパウダーと塩が入っている小麦粉)、バター、砂糖、シナモン、ミルクなどを使えば、やわらかくて温かいシナモンロールが作れるという。 このレシピなら、シナモンロールが電子レンジで5分で作れる。 “15分で作れるシナモンロール”なんて夢のよう? このレシピを見てほしい。 TikTokやインスタグラムで人気のアカウント「@fitwaffle」を運営しているスイーツ作りに詳しいエロイーズ・ヘッドさんは、シナモンロールを5分で焼く方法を見つけた。 必要なのはマグカップ、電子レンジ、そしてヘッドさんが考案した2つの材料で作れる生地だ。 「以前からシナモンロールは大好きでしたが、作るのに時間がかかるので、結果的に一度にまとめて作ることが多かったんです」とヘッドさんはInsiderに語った。 「この2つの材料で作れる生地をいろいろ試している中で、これがシナモンロールを作るのに手軽で素晴らしい選択肢になるのではないかと考えました」 「それで、小さなマグカップにちょうど入る量で作ってみることにしたんです」 「電子レンジで作ったら、ひと口で恋に落ちました!」 マグカップで作るシナモンロールに必要なのは、数えるほどの材料だけ 生地の材料: ギリシャヨーグルト 60グラム(ヘッドさんは無脂肪のものを使用) セルフライジング・フラワー 50グラム(加熱処理をする) ※セルフライジング・フラワーは小麦粉にベーキングパウダーと塩を加えて作ることも可能 フィリングの材料: 無塩バター 10グラム(溶かしておく) グラニュー糖 大さじ1 シナモン 小さじ2分の1 グレーズの材料: 粉砂糖 大さじ3 ミルク 大さじ2(牛乳でも他のミルクでもOK) セルフライジング・フラワーはボウルに入れ、ラップをかけて、電子レンジへ。「強」で1分20秒温める(20秒ごとにかき混ぜる)。常温になるまで冷ましてから使う。 作り方  セルフライジング・フラワーの準備ができたら、ギリシャヨーグルトを加えて、生地になるまでよくかき混ぜる。生地を取り出し、長方形にのばす(生地がくっつかないよう、打ち粉を忘れずに)。 溶かしたバター、グラニュー糖、シナモンを混ぜ、生地の上に広げる。生地をくるくると巻いたら、マグカップ(耐熱)に縦にして入れる。 「生地をふんわり巻くことで、ふっくらボリュームのあるいい感じのシナモンロールになります」とヘッドさんはアドバイスしている。 「巻いた生地より少しだけ大きめのマグカップに入れると、うまく立ちます」 上から砂糖とシナモンをさらに振ってもいい。マグカップを電子レンジに入れ、「強」で1分温める。 「加熱のし過ぎに注意してください。温め過ぎると、生地が固くなってしまいます」とヘッドさんは付け加えた。 「調理時間はうちの電子レンジ(750W)をもとに計算しています。必要に応じて設定を調整し、途中でシナモンロールの状態を確認してください」 粉砂糖とミルクを滑らかになるまでよく混ぜる。シナモンロールはマグカップから取り出し(熱いので要注意)て、お皿に。ヘッドさんによると、電子レンジでシナモンロールが”こんがり”焼けることはないものの「触るにはものすごく熱くなっているはず」だという。 シナモンロールにグレーズをかけたら完成! 「文字通り、5分くらいで作れます」とヘッドさんは言う。 「とっても温かくてやわらかくて、本当に美味しいですよ」 シナモンロール以外にも、ヘッドさんは2分で作れるブラウニーや3つの材料で作れるオレオケーキなどのレシピで知られている。 ヘッドさんの簡単に作れるスイーツのレシピはSNSで大人気だ。キットカットやリーセス(Reese’s)のピーナッツバターカップ、ツイックス(Twix)といった市販のお菓子を使ったレシピも多い。 「お気に入りのクッキー、チョコレート、スプレッドがあるという人は多いので、それがレシピに含まれていると引き付けられやすいのだと思います」とヘッドさんは話している。

高級レストランで男が先にトイレに行くべき理由。店は客のここを見て「一流だ」と唸る

実は高級店であればこそ、店は毎晩の客を見ているという。それであれば、レストラン側が一体、当夜のどんなマナーで客を「値踏み」しているのか知っておいてもよいのではないだろうか。店に「上客」と認められれば、会食相手にも当然、ポジティブなインプレッション効果があるはずだ。 ここでは、人気グルメブログ「タケマシュラン」から以下、「一流の客」と評価されるために備えておきたい50のマナーを数回に分けて転載、紹介する。 ここに書かれていることだけがかならずしも正解ではないだろうが、筆者も「強制力は無いが価値がある」マナーブックを構築したいと書いているように、ここでいったん「答え合わせ」をしてみるのは一興だろう。われわれの「今の、これまでの」マナーはどこが間違えていたのか?──実用教養情報として今夜の、来週の会食にも応用したい。 (前記事:「高級レストランで店側に「一流」と値踏みされる52のマナー、円卓会食編」) 中座 44.トイレはせめてメインが終わるまでガマンしろ 数十席もあるレストランにおいて、テーブルごとの食べるペースを勘案しながら臨機応変に食事を提供していくのは至難の業。食事中に中座するのは厨房の作業工程を台無しにする行為です。 貴方が最悪のタイミングでトイレに立てば、給仕から厨房へ速攻で報告が入り、「6番テーブル、遠方(トイレの隠語)だぞー! ストーップ!! ストォオオオオップ!」「今さら止めれるかよ! ぐわあああ────!」などのように、耳をすませば厨房から悲鳴が聞こえてくることでしょう。 デザートは温度管理が比較的容易であり、料理ほど作業が不可逆的では無いので、せめてメインを食べ切るまではトイレはガマンして下さい。 45.トイレは行きたくなくても男が先に行け 先にも述べた通り、原則として食事中に席を立つのは好ましくありませんが、3~4時間にもおよぶコース料理においてはやはり中座せざるを得ません。そこで女子の膀胱具合を見計らい、まずは男性が先にお手洗いに行くようにしましょう。「お手洗いはどちらですか?」と、女性に恥ずかしい質問をさせないための配慮です。もちろん入店時にお手洗いを利用しており、既に場所を把握しているのであればこのような気遣いは不要です。 46.中座の時のナプキンは椅子の上に置け お手洗いなどで中座する際、ナプキンは軽くたたんで椅子の上に置きましょう。口を拭ったり手を拭いたりした使用済みのナプキンを机の上に置くのはNG。汚い部分が同伴者に見えてしまいエレガントではありません。 食事の終盤 47.「小さいポーションで全種類下さい」とか言うな 「おなかに余裕があれば、デザートの前にチーズはいかがでしょうか」と、チーズワゴンがやって来る場合があります。チーズがコース代金に組み込まれている場合は実質的には食べ放題。別料金の場合は1切れいくらの場合と1人いくらで食べ放題の2通りの店があります。本心では「有料なら要らない」であっても、「もうお腹がいっぱいなので~」など、そこは大人の言葉でお願いします。 ここで、食べ放題だからだと言って「小さいポーションで全種類下さい」などとは絶対に言わないように。チーズワゴンは店内で1台しかなく、全種類だと1皿を作るためだけに10分近くの時間を要してしまうため、周りの客からヒンシュクを買ってしまいます。常識的には3~4種のチョイスが妥当でしょう。デザートワゴンについても同様です。 48.フランスでは食後のコーヒーは有料だ 日本のレストランでコース料理を注文すると、自動的に食後のコーヒー等がついてくることが多いですが、フランスでは殆どの店が有料です。別に飲まなくても恥でも何でもないので、「コーヒーごときに1000円も払えるか」という方は自信を持ってお断り下さい。ちなみにカプチーノはヨーロッパ圏では午前中に飲むものなのでご注意を。 余談ですが、フランスはチーズがコース料金に組み込まれていることが多く、コーヒーは別料金。日本はチーズは別料金だけれども、コーヒーはコース料金に組み込まれていることが多いです。文化の違いって面白い。 お会計から退店 49.女はトイレは行きたくなくても必ず行け 高級レストランにおいてお会計はテーブルで行うのが普通です。その際、明細をじっくり読み込む姿や「この代金は何?」などと問い質す様はなるべく女性に見られたくないものです。したがって女性はお手洗いに行きたくなくても必ず行くようにして下さい。できれば5分以上帰って来ないで頂けると助かります。インスタでも見て時間をつぶして来てください。 同伴者が気のきかない女性で中々お手洗いに立たなかったり、3人以上の会食でホストが全額払う場合などは、ホストがトイレに立つフリをしてレジでお会計を済ませてしまいましょう。「今からお手洗いに行くので明細を用意しておいて下さい」のようにレジに声をかけてからトイレに行くと、用を済ませた時にはレジがスタンバってくれているので処理がスムーズです。 50.退店時にナプキンは畳むな 几帳面な日本人は退店時にナプキンをキレイに畳みがちですが、これはNG。グシャっと適当に丸めてテーブルの上に放り出しておくのがマナーです。これは「料理があまりに美味しすぎて、感動でナプキンを畳むことすら忘れてしまいました」の意味となります。逆にピッタリと綺麗に折り畳んでしまうと「ぜんぜん美味しくなかったぽよ」というクレームを意味するサインとなってしまいます。 51.女は店に感謝するんじゃなくてホストに感謝しろ ゲストが給仕や料理人に対して「ごちそうさまでした」「ありがとうございました」と言うのも良いのですが、まずはこのような場を設けてくれたホストに対して最大限の感謝の意を伝えるようにしましょう。ゲストがホストに感謝し、ホストがお店に感謝するという構図が本来的です。お店にばっかり良い顔をする割にホストへの感謝が適当だと凄く寂しいし、お店側としても気まずいです。食後・退店時・別れ際・帰宅後のLINEで、最低4回はホストに感謝しましょう。 52.女のコートは男が着せろ 「女のコートは男が脱がせろ」とコンセプトは同じです。男性がお店から女性のコートを受け取り、男性が女性に着せて差し上げて下さい。 まとめ 何だかんだで50を超えるマナーを列挙することとなってしまいましたが、全くのド素人が全てを丸暗記して実践できるかというと、難しいと言わざるを得ません。テーブルマナーとは一種スポーツのようなものであり、思い出しながら取り組むものではなく自然と板につくものです。 したがって後は練習あるのみ。常にこのマナー集を頭の片隅に置きながら外食を続けていけば、いずれ「なんだか店に値踏みされているようで居心地が悪い」と感じることは無くなるはずです。 最重要ポイントは、 レディ・ファースト 雰囲気に溶け込む 周りの人々に不快な思いをさせない の3点です。これさえ守ることができれば、椅子は左からだのナプキンの畳み方だのと瑣末な論点は大目に見てもらえます。 逆に、この3点が守れていないと、いくら高級品を身につけていたとしても、いくら金払いが良かったとしても、「あの客は成金だからボってやっていいんだよ」と軽んじられるだけで、心のこもった対応を受けることは困難と考えたほうが良いでしょう。 テーブルマナーとは同一の空間に閉じ込められた他人同士が、お互いに不快な思いをさせないために自然に出来上がったルールです。どうか面倒臭がることなく、お店とお客、または客同士が一体となって、素敵な思い出を一緒に作ることができればと思います。 筆者=タケマシュラン。レストラン紹介メディア「タケマシュラン」運営。日本ソムリエ協会ワインエキスパート、SAKE DIPLOMA。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル。

反「OpenAI」同盟「AIアライアンス」とは何か?

 前回の記事「世界でまだ誰も報じない、OpenAIお家騒動のおぞましき正体」に大きな反響をいただきましたが、それを追うようにして新たな動きがありました。  12月5日、米国のメタ(フェイスブック)とIBMは「誰でも利用、改変できる、自由なオープンソースによる生成AIの開発、利用促進のための新団体AIアライアンスの立ち上げ」を発表しました。 「日本からもソニーグループやソフトバンク関連企業が参加」などと報じられています。  私自身が関係するミュンヘン工科大学、東京大学も名を連ねていますので、広く全世界、とりわけ日本国民に知ってもらった方がよいと思う要諦を記したいと思います。  まあ、何といいますか、非常に分かりやすい「OpenAI事変」以降の動きになっています。  本当はノーベル賞原稿の残りをリリースしたいのですが、公務繁多で出稿が遅れている中、こうした論点は時差なく発信した方がよいので、先に執筆いたしました。 まず「どこが加わっていないか」を見よ  発表によると、この 「AIアライアンス」には58の組織や団体が関係しています。内訳を確認して見ると 1:4割強が企業名 (内訳:メタ、IBM、インテル、デル・テクノロジーズ、オラクル、ソニーグループなど) 2:4割弱が大学(分類が微妙に難しいのですが・・・) (内訳:コーネル大学、イエール大学、ニューヨーク大学、UCバークレー、インペリアルカレッジロンドン、ETHチューリッヒ、ローザンヌ・ポリテクニック、慶應義塾大学、ミュンヘン工科大学、 東大など) 3:残り2割ほどが各種機関(大学との区別が微妙に難しい) (内訳:欧州原子核研究機構=CERN、Linux Foundationなど)  つまりざっくり言って過半数が「大学」「各種機関」など「非営利」団体の名が集められ、そのヘッドとしてメタとIBMという企業名が冠せられている。  しかし、ここに挙がっていない名前が何なのかを考えた方が話は早いでしょう。  AIに関する「同盟」と言いつつ、グーグル、OpenAIの2巨頭、また マイクロソフトやAIの演算基盤でほとんど一人勝ち状態のNVIDIAなどの名前は、絶対に出てこない。  端的に言えば今回の「アライアンス」旗揚げは、11月21日に急変を見せた「OpenAI事変」への「反対同盟」的な意味合いが強い。  その中心は企業としてはメタ、大学としてはニューヨーク大学、そして、両者の中心に立つ人物、ヤン・ルカン(Yann André LeCun)という一人のオピニオンリーダを中心に全体が動いていると考えると、非常に見通しがよくなります。 ヤン・ルカンとは誰か?  前回記事でもカギとなる開発者、ソ連~イスラエル~カナダ~米国と世界を移動しながら才能を発揮してきた青年計算機学者、イリヤ・サスケバー氏を紹介しました。  今回も、本当にシステムを開発してきた当事者をキーに考えると、物事の見通しが良くなります。  ヤン・ルカン(1960-)氏はフランスに生まれ、米国で活躍する計算機科学者で、ニューヨーク大学教授であり、メタのチーフ・サイエンティスト、バイス・プレジデント(副社長)を兼務。  その彼が、今回の本質的な震源地と考えて外れないでしょう。ルカン氏の足跡と業績を簡単に振り返っておきます。  1960年パリ郊外に生まれ、87年にパリ大学(当時のピエール+マリー・キュリー大学)で計算機科学の学位を取得したのち、トロント大学のジェフリー・ヒントン研究室でポスドク研究員を務めている。  つまりルカン氏も前回のサスケバー氏も、研究室の同窓という関係にあることになります。  この間、ルカン氏は今日のニューラルネットワークで最も基本的な「バックプロパゲーション」のアルゴリズムを再発見し実装、今日の応用の基礎を築きました。  再発見というのは、バックプロパゲーション演算のおおもとは1967年、当時は九州大学助教授だった甘利俊一先生に本質的なオリジナリティが帰せられるべき大業績だからです。  続いて米国のAT&Tベル研究所に移ったルカン氏は、画像認識の畳み込みニューラルネットワークシステムを完成させます。  これとて本当のオリジナルは1970年代、大阪のNHK技研で福島邦彦先生が当時の遅く遅れたエレクトロニクス上で最初に実装したものです。  10余年を経て十分計算機性能が良くなってから、これらを再現したと見ることが可能な仕事群であるのも、また一面の事実です。  ルカン氏は十分優秀で強力な人物ですが、フランク・ローゼンブラットのニューラルネットから本当に最初の一歩を踏み出したのは、甘利俊一、また福島邦彦といった日本の叡智であったことは、私たちが責任や自覚とともに、強く意識してよいことだと思います。  ともあれ、1990年代以降のAI開発でルカン氏が大活躍したのは紛れもない事実で、2003年にニューヨーク大学教授に就任後、アカデミアの立場から専門を大いに進展させた大功労者でした。  そんな彼がフェイスブック(当時)に招聘されたのは、「ネコの認識」でグーグルが第2次AIブームの端緒を切った2012年の翌年、2013年も押し迫った暮れのこと。  これはジェフリー・ヒントン氏のスタートアップ企業「DNNresearch Inc.」がグーグルに買収され、ヒントン氏という業界最大のブレインを押さえられたフェイスブックが、キャッチアップの必殺技として英断した人事であったと言えるでしょう。  以降、ヒントン氏自身やヒントン研の俊英を押さえたグーグルがトップを独走するかと思いきや、そこから才能の中核というべきイリア・サスケバー氏がOpenAIにスピンアウト。  フェイスブックはヒントン研系両雄の後を追う形ながら、独自の形でAIレースの一隅を担っていたものです。 「オープンソース」の本音はどこにある ルカンと企業群の間の温度差  事変以前から、ルカン氏はOpenAIの転身を激しく非難していました。  かつてのOpenAIは非営利の「研究組織」として、論文を公刊しつつ開発結果も公開。  例えばこれ「https://github.com/openai/gpt-3」はGitHubにアップロードされたGPT3のソースコード実物で、文字通り誰もがここから成果を学び、人類共通の価値に向けて基礎研究を進められる「サスケバーの理想郷」がそこにはありました。  ところがOpenAIは変質してしまった。秘密主義に転じたのです。かつては公開されていたパラメターなども伏せられるようになった。  こうした事態に対して、ルカン氏は、2023年3月にGPT4が公開された直後の時点で、いち早く、かなり激しく批判しています。  本人の声で主張を聞いてみるとよく解ります。このリンクの13分40秒あたりからのやり取りを書き起こしてみましょう。 「GPT4であろうと何であろうと、いまOpenAIが出してくるものについて話すとすれば、それは(基礎)研究開発ではなく、商品開発の話になっている・・・」 (We are talking about […]

岡山で評判の「笠岡ラーメン」…特徴は鶏チャーシュー、世界で勝負できる味です

倉敷支局長 小宮宏祐 岡山県笠岡市で愛される「笠岡ラーメン」。スープは鶏ガラベースのしょうゆ味で、青ネギとメンマをトッピング。そして、何と言っても鶏のチャーシューが一番の特徴だ。笠岡では古くから養鶏や製麺業が盛んだったため、独自のラーメンが誕生したという説が一般的。戦前からあったとも言われている。  現在、笠岡ラーメンを出す店は約15軒。JR笠岡駅からほど近い「中華そば いではら」ののれんをくぐった。店主の出原秀明さん(68)は49歳の時に脱サラし、ラーメン業界に飛び込んだ。「一か八かの勝負だった」と振り返る。 ■仕込みに妥協なし  2004年8月に開店。仕込みに妥協はない。スープは水と鶏ガラで、うま味調味料は使わない。鶏は毎回10キロ炊く。中華そば(並・600円)を注文した。見た目よりスープはあっさりしていて、麺は少し硬め。チャーシューは歯ごたえが心地よく、鶏本来のおいしさを堪能できる。箸が止まらなくなり、あっという間に完食した。「市外、県外からもわざわざ食べに来てくれる。『おいしかった』と言ってもらえるのが何よりうれしい」と出原さん。  最近、市内でも外国人観光客を見かける。商工会議所の担当者は「豚肉を使っていないので、イスラム教の人たちも食べられる。世界で勝負できる」と胸を張る。出原さんも「ラーメンで地域をもっと盛り上げたい」と意気軒高だ。笠岡グルメが世界へ飛躍する日は近いかもしれない。 ■こちらもオススメ…瀬戸のかぶとがに  甘い物が欲しくなり、近くの和菓子店「清月堂」に向かった。カブトガニの形をしたまんじゅう「瀬戸のかぶとがに」(小・170円)を買った。笠岡の繁殖地は国の天然記念物になっている。本物に忠実な見た目にやや気後れしたが、口に入れると白あんの甘さが広がり、驚くほどの優しい味だった。  ※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。 ◇ 国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。 ■中華そば いではら  岡山県笠岡市笠岡2827  午前11時半~午後3時。月曜定休(祝日の場合は営業、翌火曜休み) ■清月堂  岡山県笠岡市中央町18の11  午前8時~午後6時半。水曜定休

なぜ和歌山県で「1億円プレーヤー」の農家が増えているのか…東大教授が絶賛する「野田モデル」の画期的内容

農業で儲けるにはどうすればいいのか。東京大学大学院の鈴木宣弘教授は「和歌山県で1億円以上の売り上げを稼ぐ農家が増えている。彼らが利用しているのが、中間流通を通さずに作物を広域で販売する『野田モデル』という仕組みだ」という――。 ※本稿は、鈴木宣弘『このままでは飢える! 食料危機への処方箋「野田モデル」が日本を救う』(日刊現代)の一部を再編集したものです。 「1億円プレーヤー」の生産者が現れはじめた 肥料や農業資材、エネルギー……、ありとあらゆるコストは上がるが、大手流通が支配する市場構造の下、小売価格は上がらない。だから農家は儲からない。それどころか生活すらままならない。 そうして誰も跡を継がず、生産者が減る。命を守る食料のはずなのに、外圧に負けて輸入自由化だけを進め、国内生産の苦境に手を差し伸べない。結果、自給率は下がる一方――。 そんな悪循環に陥ってきた日本の農業の現状を変えることはできるのか――。 処方箋を発見した。 和歌山県で「1億円プレーヤー」の生産者が現れはじめたのをご存じだろうか。 農林水産省がまとめている営農類型別経営統計(令和3年)によると農業で生計を立てている主業経営体の農業粗収益は1638.8万円(農業所得は433.5万円)。そんな中、和歌山県ではなぜ1億円に達するような売り上げを誇る農家が増えているのか。 和歌山の名産、梅を生産する中直農園の中山尙さんも1億円プレーヤーの一人だ。梅のほかにミカンも栽培する代々農家の家系だが、売り上げを伸ばしたのは現在の尙さんの代になってからだ。 画期的な農産物流通の仕組み「野田モデル」 きっかけは、ある画期的な農産物流通の仕組みに乗ったことだった。 既存の農産物流通では農家は農協を通じて作物を出荷するのが一般的だが、いま中山さんはそれ以外のルートで7割の売り上げを稼ぐ。 このルートは売り上げだけでなく、経費などを引いた利益も格段に大きいという特色もある。そのおかげもあって、家族経営で細々と、というイメージとは無縁の「成長産業としての農業」を謳歌(おうか)している。 この農産物流通の仕組みを私は「野田モデル」と名付けた。 「野田」というのは、この仕組みを考案し、実践した野田忠氏の名前から取ったものだ。野田氏は1936年(昭和11)の生まれでとっくに傘寿を超えている。とても穏やかでスマートな人だ。若い頃には苦労もされた野田氏については章をあらためて詳述するが、この仕組みを踏襲、実践する動きが広がれば日本の農業は復活すると確信するに至った。 「野田モデル」とはどのようなものか。私は何度も現地に出向き、謙虚に語る野田忠氏の話に耳を傾けた。 直売所を和歌山、奈良、大阪に30店舗展開 和歌山県第二の都市、田辺市。「知の巨人」と称される南方熊楠を生んだこの土地は、温暖な気候で知られ、農業も盛んだ。梅干しやミカンの一大産地であり、スモモの栽培も盛んだ。 近隣の白浜町には、道後温泉や有馬温泉と並ぶ日本三古湯に数えられる白浜温泉があるほか、風光明媚(めいび)な観光地も点在している。日本一のパンダの「大家族」が暮らすことで知られる動物園「アドベンチャーワールド」もあり、最近ではパンダ目当てで訪れる観光客も多い。 そんな穏やかな土地が、農産物の流通革命の「聖地」であることを日本の大多数の人は知らないだろう。 第2章まで、何がこれまで日本の農業を痛めつけてきたか、農家が困窮し、日本人が飢えの危機に瀕していることを私は繰り返し述べてきた。「野田モデル」はその状況をひっくり返す「ゲームチェンジャー」となる可能性を秘めている。それを実践するのが「産直市場よってって」という農産物直売所を多店舗展開する仕組みである。これはいわゆる「チェーン店」とまったく違う、それぞれの直売所が個店の特徴を追求するスタイルで、その第1号店が生まれたのが田辺市だ。 「よってって」は、生産者が農産物を直接出品する直売所だ。1号店となるいなり本館は2002年5月にオープンした。なんと、野田氏66歳のときである。 以来、着々と出店を重ね、現在、和歌山を中心に奈良県、大阪府に30店舗を展開する。新鮮で品質の良い農産物の直売所が話題になるケースは増えたが、ここまで多店舗展開した事例はほとんどない。 あえて「非効率的」な売り場をつくる 店内に一歩足を踏み入れれば、すぐに従来のスーパーマーケットとはまったく違う空間が広がっていることを実感する。 まず、「旬」の作物の圧倒的な豊富さだ。私が訪れた春先には、いなり本館の壁際はオレンジ色に染まっていた。 「不知火」「あすみ」「せとか」――ずらりと並んでいるのは柑橘類だ。 和歌山といえば、ミカンの生産量が全国1位だということは義務教育で習う。だから品揃えが豊富なのはわかるが、よく見ると1列ごとに生産者が違う。袋に張ってある値札には、すべて生産者の名前が書いてあり、値段やサイズがそれぞれ異なるのだ。 壁から店の内側に目を転じると、今度はイチゴがずらりと並ぶ。こちらもそれぞれに生産者の名前が書いてあり、値段はバラバラ。果物ばかりではなく、トマトやほかの野菜もあり、陳列スタイルも同様だ。 季節ごとに店の表情はがらりと変わる。果物を例に取ると、夏は桃やスイカ、メロン、バレンシアオレンジなど、秋は温州ミカンや柿、ブドウ、梨など、冬はポンカンや八朔、ネーブルなどが並び、季節の味覚がふんだんに取り揃えられている。 普通のスーパーなら、生産者が違うとはいえ、同じ作物を大量に並べるような「非効率的」な売り場は決してつくらないが、「よってって」では、生産者が競い合うように収穫したばかりの「旬」の品を徹底的に並べる。 店の奥に進むと米が並ぶ。ここも特徴的だ。 米は県外産のものもあるが、こちらも当然のように生産者の名前が入っている。 「つや姫」「コシヒカリ」「ひとめぼれ」――とブランド米をそろえつつも、「誰がつくったのか」にこだわっている。 地元産で揃えて、大手の商品はいっさい置かない 扱っているのは農作物だけではない。 鮮魚売り場には「漁師さんから直送! 魚の産直」の文字。冷蔵ショーケースには地元の漁港を中心に水揚げされた魚が所狭しと並ぶ。鰹、はまち、あじなど一匹まるごと販売する魚は手数料を払うと、注文どおりさばいてくれる。 さすがに精肉売り場は、鹿児島県産の豚肉など、他県のものも目立つが、米国やオーストラリアなど海外の牛肉などは置いていない。 加工食品はもっと“異様”だ。 なにしろ一般のスーパーに並んでいる大手食品メーカーの商品がほとんどないのだ。しょうゆや酢のような調味料も地元産のものばかり。キッコーマンやミツカンなど、全国に名の知られた大手の商品はいっさい並んでいない。 とはいえ、品揃えが薄いわけではない。しょうゆであれば、うすくちしょうゆ、刺身しょうゆなど、食卓に必要な種類はきちんと地元産で揃えてあり、来店客のニーズに応えている。 「小遣い稼ぎ」止まりだった既存直売所とどこが違うか 「なんだ、規模が大きな直売所じゃないか」 読者の中にはそう思われた方がいるかもしれない。 たしかに生産者が作った野菜や果物などを中間流通を通さずに並べる直売所や、地元産の一次産品を取り扱う道の駅などは、いまや日本中のあちこちに見られるようになった。休みの日には、行楽がてら美味しいものを目当てに足を運ぶ人も多いだろう。 だが、「よってって」にはこうした店舗とは決定的な違いがある。 従来の直売所や道の駅で扱う野菜や果物などは、地元の1店か、多くても近隣の2~3店でしか売ることができなかった。なぜなら、中間流通が担っているような物流機能を持っていないからだ。だから農家が頑張って直売所で売ったところで、店舗数が限られ、せいぜい「小遣い稼ぎ」程度に終わってしまった。 鮮度の良さ、品質の高さや、生産者の顔が見える――など、直売所で買うメリットは広く認知されるようになったが、生産者の立場からすると販売を大きく広げることができないのがこれまでの難点だった。 そもそも、そうした配送機能を持つ中間流通を「中抜き」するのが直売所の仕組みである以上、販売網を広げるのが難しいのが宿命である。 それに対して、「よってって」は一人の生産者がつくった作物や商品を広域に販売できるのだ。和歌山を中心に奈良、大阪まで30店舗があるが、農家がある店舗に持っていくと、それを別の店舗に配送できるシステムが構築されているのである。 つまり、農家は生産量さえ確保できれば、「よってって」の店舗ネットワークの広がりに合わせて販売数量を増やすことができるのだ。 このように、直売所の限界を打破し、農家が中間流通を通さずとも自分が生産した作物を広域で販売できるようにしたのが、「産直市場よってって」。そのシステムこそが「野田モデル」なのである。 ———- […]

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