Thursday, March 30, 2023

車の「タコメーター」なぜタコ? 海や空のタコと関係あり? 意外な語源と経歴をたどってみた

タコは回転ではなく速度

 クルマの「タコメーター(tachometer)」は、なぜそう呼ぶのでしょうか。海にいる蛸(たこ)や空に揚げる凧(たこ)と何か関係があるのでしょうか。

 タコメーターは、エンジンの回転数を示す計器です。

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 クルマには速度計(スピードメーター)、燃料計、水温計などの計器類が搭載されていますが、それらとともにこのタコメーターが備わっている場合があります。

 比較的安価なモデルやハイブリッド車には搭載されていない場合もありますが、一方で多くのMT車には搭載されています。

 これは、エンジンの回転数に応じて手動でシフトチェンジすることになるため、エンジンの回転数を確認できるタコメーターが必要不可欠だからです。

 エンジンをフル活用して走るスポーツカーも、タコメーターは重要な役割を果たします。

 このようにタコメーターは、クルマやエンジンと切っても切り離せない存在ですが、「タコ」の由来は何なのでしょうか。

 クルマのメーターやセンサーの開発・製造などを手掛けるメーカーの担当者は、「タコは『速度』という意味の古代ギリシャ語「TAXOS(タコス/機種依存文字のため英語表記)」が語源」と説明します。

 そしてこのTAXOSが英語に転じた際に「tacho」となり、tachometerと呼ばれるようになったと考えられています。

 しかし、TAXOSの意味は「速度」であって「回転数」ではありません。なぜ、意味が微妙にずれているのでしょうか。

速度測定に用いられていたタコメーター

 タコメーターは、移動手段の発達と深い関わりがあります。

 19世紀初頭、イギリスで蒸気機関車が発明されました。

 それまで移動といえば徒歩や馬が基本でしたが、大量の人や物を速く運べる蒸気機関車(鉄道)の登場によって「速度を測る」必要が生まれたのです。

 そこで1840年頃から、回転数を測るタコメーターが蒸気機関車に活用されるようになりました。車輪の回転数を測り速度の算出に使われるようになります。このため名前に速度のTAXOSが使われていたというわけです。

 ちなみに現在広く使われている「speed(スピード)」は、タコスより新しい言葉であり、今の意味で用いられるようになった初出は、確認できる最も古いもので1879年です。

 移動手段がゆっくりで乏しかった当時、「速度」は学術的・専門的に使われる概念であり、まだ一般的ではなかったと考えられています。

 そしてその学術の世界では、用語に古代ギリシャ語(ラテン語)を用いるのが一般的で、タコスもその一つでした。

 古代ギリシャ語(ラテン語)が用いられる理由は、それが死語であり、現在進行系で使われ方や言葉の意味が変わることが少ないためといわれています。

※ ※ ※

 専門の世界から出てきた、いわば“先輩”の言葉であるタコスは、その後も回転計の名前に使われています。

 そして鉄道や自動車が発達して速さが重視されるようになり、「速度」の概念が一般化すると“後輩”のスピードという言葉も活躍するようになり、今では回転計と速度計が並ぶようになっています。

 ちなみにメキシコ料理のタコス(tacos)は、スペイン語の「軽食」に由来しており、乗りものの計器類とは無関係です。

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