「岸田総理は派閥を出よ」
「派閥の会合とかですねえ……そうしたものに出席するのは、いかがかと思ってですねえ」
岸田文雄総理に対する、前総理・菅義偉氏の口撃がしつこい。雑誌のインタビュー、テレビ、さらにネット番組と、姿を現すたびに口にするのが「岸田総理は派閥を出よ」という説教である。
直近の岸田派=宏池会例会では、「ついに菅さんが本気で揺さぶりをかけてきた」「いったい、誰と結託しているんだ」という話で持ちきりだった。

「そのときは『宏池会は他の派閥と違って(利益集団ではなく)政策集団なのだから、気にすることはない』という『建て前』でいこう、という話で落ち着きました」(自民党岸田派所属議員)
当の岸田総理は無視を決め込んでいるものの、心中穏やかでない。というのも、あらゆる攻撃を「検討します」と唱えて無効化する特技を持つ総理だが、この「派閥」こそが泣きどころなのだ。
背後に潜む総理の「宿敵」
「岸田派とはいっても、ナンバー2の林芳正さんや事務総長の根本匠さんと岸田総理は、決して関係がいいわけではありません。しかも林さんや根本さんの背後には総理の『宿敵』がいるから、派閥を抜けるに抜けられないのです」(前出と別の岸田派所属議員)

その宿敵とは、2年前に岸田総理が派閥から追い出した、元宏池会名誉会長の古賀誠氏である。
「古賀さんは以前から林さんを可愛がっていて、派閥会長に据えたがっている。そうすれば自分が名誉会長に復帰できるという目算もあります。
しかも古賀さんは、菅さんとも非常に親しい。最近では、岸田総理が防衛3文書に反撃能力保有を明記させたことに憤慨し、『岸田は(平和主義の)宏池会を壊している』と怒り心頭だと聞きます。古賀さんが菅さんと連携して、ジャブを打たせているとしてもおかしくない」(自民党閣僚経験者)
危険な黒幕が「岸田おろし」の火蓋を切るのか。
「週刊現代」2023年2月11・18日号より