Wednesday, March 29, 2023

「人魚のミイラ」は造形だった、骨格なし 現代科学を駆使して調査

 岡山県の寺院が秘蔵する「人魚のミイラ」の正体は――。倉敷芸術科学大(同県倉敷市)の研究者らは7日、X線などを用いた調査の結果、主要な骨格がなく、造形されたものだったと発表した。上半身は布や紙、綿などの詰め物などを土台にして紙とフグの皮でできており、下半身は魚類の皮で覆われていた。はがれ落ちたうろこから、1800年代後半に制作された可能性が高いという。

 「人魚のミイラ」は同県浅口市の円珠院(えんじゅいん)の所蔵。「元文年間(1736~41)に土佐の海で漁網にかかった人魚」と記す書き付けとともに桐(きり)箱に収められていたが、寺に来た経緯はわかっていない。

 全長約30センチ。正面を向く眼窩(がんか)や耳、鼻、頭髪、5本指の両腕など霊長類を思わせる上半身と、うろこに覆われた下半身。この「人魚」の正体を探ろうと、同大の研究者ら5人が昨年2月から調査を続けてきた。

 その結果、あご以外の頭や脊椎(せきつい)、肋骨(ろっこつ)といった主要な骨格がなかった。頭部はほぼ綿でできており、部分的にしっくいや石膏(せっこう)のようなもので整えられていた。上半身の体表は薄い紙を重ね、フグの表皮と動物の毛が接着されていた。下半身は尾ビレや背ビレなどがあり、ニベ科の魚類の特徴を有することが判明した。

 円珠院の柆田(くいだ)宏善住職(61)はこの日の会見で、「地域の多くの人が手を合わせ、思いが宿っている存在。命あるもので形成されたものとわかり、これからも大切に守り続けたい」と話した。

 国内に現存する「人魚のミイラ」は10体以上確認されており、鹿児島県の奄美大島で確認されたものは精巧な工芸品であると確認されているという。(小沢邦男)

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