Saturday, March 25, 2023

「成果をだすチーム」が絶対に採用しない”ルール” 真面目なリーダーほど陥る「士気爆下げ」の危険

研修の企画・講師を年200回、トータル2000社、累計2万人を超えるビジネスリーダーの組織づくりに関わってきた組織開発コンサルタント・高野俊一氏による連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。

成績が振るわない、メンバーが互いに無関心でいっさい協力し合わない、仕事を作業と思っており楽しそうに働いていない、離職者が多く人の入れ替わりが激しい……。これらは日本の多くの職場で見られる光景です。こうした環境に疲弊し、働くことに希望を見出だせない人が増えています。

【写真】周りに好かれる人が「絶対に言わない」NGな口癖

この絶望的な状況を変えられる唯一の方法が「チームづくり」です。チームづくりがうまくいけば、すべてが劇的に変わります。部下も会社もあなた自身もラクにする、チームづくりのノウハウを指南します。

この連載をまとめ、大幅に加筆・改稿した、ビジネス書『チームづくりの教科書』(高野俊一)が、アルファポリスより好評発売中です。

「減点主義」はなかなか止められない

前回、チームづくりという変化を起こすには時間が必要で、メンバーの気持ちを折れさせないための5つの工夫が大切だとお伝えしました。

その2つ目のステップは、「加点主義」で小さな変化を喜ぶことです。

チームづくりにおいて、「減点主義」なのか、「加点主義」なのかは重要です。

減点主義とは、活動を進めているときに、「10取り組もうと思っていたのに、2しかできなかった」とマイナス8に着目するスタンス。

他方、加点主義は、「2取り組んだ。最初は10取り組もうと思っていたけれど、もともとが0だったのだから、プラス2前進できてよかった。10行けると思っていた見込みの甘さに気づけてよかった。じゃあ次はプラス4にするぞ」と、活動のなかでプラスに着目するスタンスです。

とくに、チームづくりの初期段階において、減点主義は禁物です。

活動初期に減点主義になってしまうと、弾み車を押すエネルギーは急速に失われて、チームづくりそのものをやめてしまいます。

数ミリの変化を喜ぶことが、きわめて重要なのです。

関係性をつくろうとして「1on1面談」をしたとします。

「スタッフが全然本音を話してくれなかった」

これは、減点主義の考え方です。

「まずは1対1で話ができただけでもよかった」

「1対1になったときにああいうふうになるんだとわかっただけでよかった」

「自分の面談経験値が積めただけでよかった」

というように、必ずプラスを見つけます。

そうやって加点主義で考えると、組織内で攻撃し合うことがなくなり、心理的安全性は高まりますし、活動の推進エネルギーが湧いてきます。

真面目な方ほど減点主義になってしまいがちです。加点主義で考えるのは、「仲良しクラブ」のぬるい組織なのではないかと心配になり、強く指摘せずにはいられないのです。

しかし、減点主義は、車輪を止めます。

むしろ減点主義は、目標に向かわなくするエネルギーなのです。

「10取り組もうと思っていたのに2しかできなかった(マイナス8)」というのでは、もともと描いていた目標に向かうエネルギーが湧きません。

「10取り組もうと思っていたけど2進めたね。じゃあ次は4にしよう」という考え方は、減点主義と比べて、目標に向かうエネルギーを強めているのです。

だから、安心してください。加点主義は、「仲良しクラブ」の甘い組織にしてしまうわけではありません。

減点主義こそマイナスなのです。

ここまで言っても、減点主義をやめられない人がたくさんいます。

ですが、その困難さがチームづくりの醍醐味とも言えます。減点主義をやめられない自分をも楽しんで、少しずつできるようになっていってください。

ソフトバンクの「1位」の使い方

ソフトバンクは、携帯通信会社として日本を代表する大企業ですが、しかし通信業界に参入した当初は順風満帆とは言えませんでした。

イギリスのボーダフォンを1兆7500億円で買収して業界に参入したソフトバンクですが、業界では常にビリの3位。

ビリの期間が長すぎて、組織には「負け癖ムード」が漂っていました。

「オレたちが1位なんてムリ」

「頑張ってもムダ」

そんな雰囲気があったそうです。

そこでソフトバンクは、「瞬間風速でもいいから1位を取ろう」と狙いをつけます。

参入からわずか半年後、1ヶ月間だけ契約者純増数ナンバーワンを獲得しました。

翌月からはまた3位に転落するのですが、一度でもナンバーワンを取ると、「契約者数純増数ナンバーワン」を大々的にうたい、宣伝しまくりました。

すると、完全に負け癖がついていたスタッフにも、「私たちは瞬間風速だとはいえ、ナンバーワンになったんだ」と自負が生まれていきます。

そしてその数ヶ月後、もう一度単月1位を取ります。

その数ヶ月後にまた1位、いよいよ2回連続1位、3回連続1位、年間1位。

このように、小さな変化を喜ぶ演出をおこなうことは、組織を強くするきわめて有効な手段だと、この事例は教えてくれます。

「強いチーム」が必ずやっていること

2:6:2の上位2割を巻きこみ、加点主義で小さな変化を喜べるようになったら、ベンチマーキングにチャレンジしましょう。

ベンチマーキングとは、他社の成功事例を研究し、よいところを取り入れる手法。第三者がすでに成功した事例は、より現実味を帯びた未来像としてイメージさせることができます。

私は、ベンチマーキングプログラムの方法として、「動画コンテンツ」「書籍・漫画」「見学・視察」の3つを推奨しています。

今の時代は、動画コンテンツがたくさんあります。それこそこれまで紹介してきたような青学や星野リゾートなど、チームづくりを紹介してくれている動画コンテンツがたくさんあるのです。

それを観てもらうだけで、基準を共有することができます。「あの会社のあれ目指したいよね」とか「あの取り組みいいと思わない」と共通のイメージで改善を進めることができるようになるのです。

動画コンテンツの見つけ方としては、次の4つを当たると、かなり良いものが見つかります。

YouTube … 言わずと知れた動画サイト

ニューズピックス … ビジネスに役立つ動画配信多数

テレ東BIZ … 『カンブリア宮殿』や『ワールドビジネスサテライト』などテレ東の番組が視聴可能

NHKオンデマンド … 観ごたえのあるドキュメンタリーが豊富

書籍・漫画にも優れた教材がそろっています。部下が本を読むことに抵抗がないなら、ぜひ読んでもらうといいでしょう。

見学・視察は、とても大きな効果を生みます。もしも競合サービスを体験できるのでしたら、部下と一緒に体験するのはチームづくりにとても好影響を与えるでしょう。

皆さんは、このようなベンチマーキングはやったことがありますか?

もしなかったら、ぜひやってみてください。強いチームは、必ずと言っていいほどやっています。

組織を強くするには、基準を上げなければなりませんし、未来のイメージを共有すればするほど実現しやすくなります。

基準を上げて未来のイメージを共有するのに、ベンチマーキングほど簡単で楽しく、取り組みやすい手法はありません。

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