陸上・十種競技の元日本王者でタレントの武井壮が6日、TOKYO MX「バラいろダンディ」に出演。陸上女子のドルーリー朱瑛里(しぇり、津山・鶴山中3年)が全国中学生クロスカントリー大会(5日、滋賀・希望が丘文化公園)を欠場したことに言及。陸上競技の〝特殊性〟を指摘し、改善を求めた。
ドルーリーは先月15日の全国都道府県対抗女子駅伝の3区(3キロ)で区間新記録(9分2秒)をマークした。NHKで生中継されたこともあり、知名度が一気にアップ。これまでの環境が一変した。
3日に代理人弁護士を通じて全国中学生クロスカントリー大会(5日、滋賀)を欠場すると発表。一部の過熱取材や一般人による無断撮影、SNSへの投稿などに不安を抱いたことを要因に挙げ「陸上以外のことも大きく報道されて戸惑いました。私は可能な限り普通の生活をしながら陸上を続けていくことを希望しています」と過度な注目の自粛を要請した。
意見を求められた武井は「プロ野球とかサッカーとか、いろいろなスポーツがあるじゃないですか。選手を取材するとかインタビューを申し込むとか囲んで何かを聞く(囲み取材)とかチームの許可を取ってやるわけじゃないですか。陸上って、メジャースポーツだけど選手はマイナーであった、しかも選手に『取材お願いします』とかの許可取りがあまりないんです。競技場を出たところで記者が待っていて、つかまえることができる状況になっている」と環境の違いを指摘する。
続けて「一番問題なのは、選手に取材を受ける、受けないの選択肢がないのが通例になっている」ことだという。記者、カメラマンに囲まれて取材が始まってしまう。「これは大会を開催する側とか協会とか連盟とか、そういったところが…。全大会をそうするのは、すごい数の大会があるから無理だと思う。ただ、こういった話題の選手が現れた場合に規制をしっかり取れて、ご本人の意思を尊重して『こういう取材の依頼がたくさんあるんだけど、どうしますか』、『10分くらいだったら、試合の後に記者に来ていただいてお答えすることができます』にするとか。『それ以外は競技に集中していきたいという希望があれば、そういうふうにしていく』とかの対処をしていけばいいだけの話で、何かが間違っているというわけではない」
武井はサッカーを例えして「15歳でJリーグデビューしたら(マスコミが)ワーッって来るじゃないですか。でも、それはプロだからチームが許可を取ってPRのために映像を流すわけで、それは何の問題はない」とプロアスリートの取材形式を挙げた上で「アマチュアスポーツも、そうしなければいけない時代に来ている」と持論を述べた。
無断撮影については「すべてのスポーツが見られる時代になっているし、一般の人が撮影して表に出すことも簡単な時代になっている。動画とか盗撮の問題は、撮ることじゃなくて、無断で掲載して広告がついたりとか、性的な目線で見られてしまうように編集されたりする。そういうのも本人もしくは関係者なりが『不適切だ』と通報したらすぐに削除できるような、そういう仕組みを作らなきゃいけないですよね」と提言した。