西武、巨人、オリックスで活躍し、歴代5位の通算525本塁打を放った清原和博さん(55)が中日の春季沖縄キャンプ第1クールの4日、アグレスタジアム北谷を訪れ、鵜飼航丞外野手(23)ら右の大砲候補相手に“臨時コーチ”を務めた。中日の春季キャンプ訪問は2年連続で、引退直前に完成した打撃の奥義を惜しげもなく伝授。PL学園の後輩・立浪和義監督(53)には、最下位からの下克上Vを要望した。
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独特のオーラを漂わせながら、今年も鍛錬の地に来た。昨季メインだった「見る」から一歩踏み込んだ「レッスン」。清原さんは立浪監督に促されて、鵜飼や現役ドラフトで加入した細川らに“直接指導”した。
「バッターの基本として自分が(現役の)最後に分かったことを伝えました」。キャリア最後で仕上がったという打撃の奥義。大きく分けると、打席の心構え、ボールの待ち方、気持ちの3つに分類できる。
「速いストレートを待って変化球に対応する。始動を早く、投げる瞬間にトップをつくる。(右)打者はレフトへ引っ張りたい生きもの。そこを理解した上でセンター中心に打つべきです」。これが清原さんが大切にする打席での心構え。続くのがボールの待ち方だ。
打者なら避けては通れない内角球の対応策。通算525発の強打者は窮屈に打つことを捨て打席の遠くに立ち、はじき返すことに照準を定めた。
清原さんは「ちょっと鵜飼選手には悪いんですが…」と前置きしつつ「空振りしていたスライダーを1球でも2球でもファウルにできれば、もう1球チャンスがある。変化球をポンと三遊間にヒットを打てれば、すごく自信になるんです」と続けた。
そして最後は気持ちの強さ、いかに腹をくくるかにいきつく。「ワンバウンドのスライダーを振ったら、『また同じボールを振ったらどうしよう』となる。そういうときにストレートがきたら、(どん詰まりで)ガチャッとなる。『1回見たから次は振らない』と、悩まずに済ませられるかどうかです」
昨年、立浪監督からキャンプに招待され、アグレスタジアム北谷を訪問。清原さん自身、現場とやや距離を置いていただけに、球場の雰囲気に胸を躍らせた。さらに移動中の那覇市内では交通事故現場に遭遇。人命救助にもひと役買った。
だからこそ、後輩には勝つ喜びを味わってもらいたい。2021年には前年最下位だったヤクルト、オリックスがともにリーグ制覇。昨季チームは2連覇したヤクルトに14勝10敗1分で勝ち越した背景から「優勝チームが最下位チームに負け越すのは、ほぼあり得ない。Aクラス、そして優勝を」と立浪監督に下克上Vを求めた。