Thursday, September 21, 2023

これは宿命なのか・・・「習近平体制」に富裕層が海外逃亡!「先の見えた中国」に国民があいそをつかす日

中国経済が復活するという楽観論が広がっているが、本当だろうか。

少なくとも中長期的には、ネガティブな情報にあふれている。

長らく「地方分権的全体主義」で機能して「改革開放」に成功した中国だが、いまや経済大失速が顕著になっている。習近平の独裁体制が始動したことで、さらび数々のひずみが明らかとなった。

果たして、中国はこれからどうなってしまうのか。

前編『中国「習近平体制」がもたらす「経済“大失速”の深層」と、中国型「全体主義」が限界をむかえる「あぶない兆候」』に続きレポートする。

絶対権力者の「落とし穴」

現在、習近平体制が敷こうとしている統治制度の根本的な問題は、最高指導者と地方の間の意思疎通が迅速かつ正確に行われず、カリスマ化した最高指導者に対するチェック機能が働かないことだ。

広大な国土と世界最大級の人口を擁する中国では「鶴の一声」が往々にして極端な結果を招いた。

カリスマ化した前例である毛沢東統治下で起きた「大躍進」や「文化大革命」の悲劇はあまりに有名だ。1979年から実施された「1人っ子政策」でも極端な人口減少を生じさせる結果となった。

習金平のやり方は伝統的な統治制度を復活させた感が強いが、「ゼロコロナ政策の突然の解除によってもう一つの悲劇が生まれるのではないか」との不安が脳裏をよぎる。

習近平の歓心を得るため、これまでゼロコロナ政策を墨守してきた地方政府だが、不動産市場の低迷で土地売却収入が激減し、ゼロコロナ政策を維持するのに必要な巨額の資金を捻出することができなくなってしまった。

台所が「火の車」になった地方政府からの突然の悲鳴に驚いた習近平が、なんら対策を講じることなくゼロコロナ政策を解除してしまったのが内情だろう。

国民は「政府発信」の情報が信じられない

中国政府は「新型コロナの感染は収束しつつある」と喧伝しているが、専門家の間では「中国の感染爆発は長期にわたって続く」との見方が有力だ。

農村部の高齢者の犠牲を防ぐことがゼロコロナ政策を正当化する根拠だったことから、中国では今後、農村部を中心に100万人以上の死者が出るかもしれない。

中国政府が「不都合な真実」を隠蔽する可能性が高いが、このような姿勢は「人民の安全を守る」という政府の最も重要な責任を放棄したとのそしりを免れないだろう。

ゼロコロナ政策の解除により、政府の存在感が急速に薄れているのが気になるところだ。

新型コロナの感染が急拡大する中、政府から支援を得られない都市部の住民は医薬品などを融通し、助け合いで生き抜こうとしている(1月19日付ブルームバーグ)。

新型コロナの治療についても、保健当局者の発言よりもソーシャルメデイアのインフルエンサーの意見に頼るようになっている(1月24日付ブルームバーグ)

ゼロコロナ下で非常に大きな存在感を示していた政府は「今は昔」だ。人々は政府抜きの生活を実感していると言っても過言ではない。

富裕層が逃げだした

政府がゼロコロナ政策に伴う渡航制限を解除したことで富裕層の海外移住の動きも加速している(1月26日付ブルームバーグ)。

共産党に楯を突かない限り、富を増やし続けられることができた富裕層は、習近平の経済活動への締め付けや「共同富裕」の動きに辟易としているからだ。

「政府による一党支配を受け入れる代わりに、国民の安全を維持し生活を向上させる」という、これまでの社会契約が無効になりつつある。

慣れ親しんできた統治制度を抜本的に見直すことは困難だ。

だが、そうしない限り、体制の危機が進んでしまうのではないだろうか。

さらに連載記事『習近平が大ピンチ……!中国「ゼロコロナ大不況」が「世界金融危機」へと波及する悪夢のシナリオ』では、負の側面があらわとなった中国経済の深層を詳しくレポートする。

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